作業環境測定士 令和6年2月 労働衛生一般

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問1リスクアセスメントに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、指針とは、厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の
調査等に関する指針」をいう。


(1)コントロール・バンディングは、簡易なリスクアセスメント手法で、取り扱う化学物質の有害性の程度及びばく露の程度をいくつかのバンド(区分)に分けてリスク評価を行い、リスクレベルに応じたリスク低減措置が決定されるものである。


(2)CREATE – SIMPLE(クリエイト・シンプル)は、リスクアセスメント支援ツールで、取り扱う化学物質の情報と作業条件を入力するとリスクレベルが見積もられ、リスクレベルに応じて、リスク低減措置の検討が行えるものである。


(3) 指針における「危険性又は有害性」とは、一般にリスクといわれるものであり、労働者に負傷又は疾病を生じさせる潜在的な根源である。


(4)指針では、対象の業務について作業環境測定により測定した作業場所における化学物質等の気中濃度等を、当該化学物質等のばく露限界と比較することによってリスクを見積もることができる、とされている。


(5) 指針では、個人ばく露濃度をばく露限界と比較する手法によりリスクを見積もった結果、ばく露濃度がばく露限界を相当程度下回る場合は、リスク低減措置を検討する必要はない、とされている。

解答

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(3)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針 参照

(1)

コントロールバンディングとは(厚生労働省HPより)
化学物質の健康有害性についての簡易なリスクアセスメント手法として、「コントロール・バンディング」があります。 これは、ILO(国際労働機関)が、開発途上国の中小企業を対象に、有害性のある化学物質から労働者の健康を保護するために、簡単で実用的なリスクアセスメント手法を取り入れて開発した化学物質の管理手法です。

厚生労働省版コントロール・バンディングは、この手法をわが国で簡易的に利用できるようにウェブシステムとして開発されたものです。
【液体または粉体を扱う作業(鉱物性粉じん、金属粉じん等を生ずる作業を除く。)】と【鉱物性粉じん、金属粉じん等の生ずる作業】の2つのシステムがあり、次のような特徴があります。

特徴
労働者の化学物質へのばく露濃度等を測定しなくても使用できる。
許容濃度等、化学物質のばく露限界値がなくても使用できる(粉じん等が生ずる作業は値設定が必要)。
化学物質の有害性情報は必要。


手法
作業条件等の必要な情報を入力すると、化学物質の有害性とばく露情報の組み合わせに基づいてリスクを評価し、必要な管理対策の区分(バンド)が示される。
バンドに応じた実施すべき対策及び参考となる対策シートが得られる。

(2)

CREATE-SIMPLE(Chemical Risk Easy Assessment Tool, Edited for Service Industry and MultiPLE workplaces;クリエイト・シンプル)とは(厚生労働省HPより)

サービス業などを含め、あらゆる業種にむけた簡単な化学物質リスクアセスメントツールです。

ばく露限界値(またはGHS区分情報に基づく管理目標濃度)と化学物質の取扱い条件等から推定したばく露濃度を比較する方法となっています。英国安全衛生庁(HSE)が作成した、HSE COSHH essentialsなどに基づく、リスクアセスメント手法における考え方を踏まえた、大量(数kL、数トン)の化学物質取扱事業者から極少量(数ml、数g)の化学物質を取扱う事業者まで、業種を問わず幅広い事業者が使用可能な簡易なリスクアセスメント支援ツールです。

また新機能として、米国NIOSHの手法などを踏まえたばく露限界値から算出した経皮ばく露限界値と取扱条件等から算出した経皮吸収量を比較する方法により、経皮吸収による有害性のリスクを見積もるとともに、GHS区分情報と取扱条件(着火源の有無等)から取扱物質の危険性についてもリスクを見積もる機能を追加した画期的な簡易なリスクアセスメント支援ツールです。

特徴
労働者の化学物質へのばく露濃度等を測定しなくても使用できる。
大量(数kL、数トン)から極少量(数mL、数g)まで幅広い化学物質取扱量に対応
選択肢から回答を選ぶだけで、簡単にリスクを見積もることが可能。
リスク低減措置の検討も支援しており、どこを改善すればリスクが下がるかが確認可能。
厚生労働省版コントロール・バンディングでは考慮していない作業条件(換気や作業時間、作業頻度など)の効果も反映。
吸入による有害性リスクだけではなく、経皮吸収による有害性リスクや危険性についてもリスクの見積もりが可能

(3)リスクをハザードに変えると正しい文章になる。リスクとは「危険性又は有害性(ハザード)によって生じるおそれのある負傷又は疾病(けが)の重篤度及び発生する可能性の度合い」である。

 


問2「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 化学品について、可燃性ガス、引火性液体、急性毒性、発がん性などの危険有害性クラスが設定されており、各危険有害性クラスについて定められた分類基準に従って、危険有害性区分に分類する。


(2) 危険有害性区分が数字で示されているものは、区分の数字が大きい方が危険有害性の程度が大きい。


(3) ラベルの記載項目は、化学品の名称、注意喚起語、絵表示、危険有害性情報、注意書き、供給者を特定する情報の6項目である。


(4) ラベルに記載する注意喚起語には、「危険」と「警告」の2種類があり、重大な危険有害性がある場合には「危険」を用い、それよりは重大性の低い危険有害性がある場合には「警告」を用いる。


(5) 安全データシート(SDS)に記載すべき事項は「その他の情報」を含む16 項目であり、各項目に該当する情報が入手できない場合は、その事実を明記し、「その他の情報」以外の項目は空白にしてはならない。

解答

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(2)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS) 参照

(2)区分の数字が小さい方が危険有害性の程度が大きい。

この問題は(3)や(5)は少し細かいことを書いてあるが、(2)は基本的な問題を問うているので正解したい。

 

問3化学物質による健康影響及びその管理指標等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 量— 反応関係とは、個体について、有害物質へのばく露量と、ある生体影響の大きさとの関係を示したものである。


(2)最小毒性量(LOAEL)とは、毒性試験において有害な影響が認められた最低のばく露量をいう。


(3) 無影響量(NOEL)とは、毒性試験において影響が認められなかった最高のばく露量をいう。


(4) 半数致死量(LD50)とは、急性毒性を評価する指標で、1回の投与で一群の試験動物の50 % が死亡すると予想される投与量をいう。


(5) ACGIH(米国産業安全衛生専門家会議)が勧告するTLV- STEL(短時間ばく露限度)は、1日の労働時間においてどの15分間においても超えてはならない時間加重平均濃度である。

解答

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(1)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質と健康障害 参照

(1)量ー影響関係と量ー反応関係はよく出題されている。

・量— 影響関係とは、個体について、有害物質へのばく露量と、ある生体影響の大きさとの関係を示したものである。

・ 量— 反応関係とは、集団について、有害物質へのばく露量と、ある生体影響を表す個体の割合との関係を示したものである。

 

シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 資料2013年3月6日 北里大学医学部衛生学 角田正史 より引用

 


問4化学物質の吸収、代謝、蓄積等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 有機溶剤は脂溶性が高いので、中枢神経系などの脂肪に富んだ組織に蓄積しやすい。


(2) ベンゼンは体内で代謝されて、フェノールを生じる。


(3) テトラクロロエチレンの生物学的モニタリングの指標として、尿中の総三塩化物の濃度がある。


(4) カドミウムの生物学的モニタリングの指標として、尿中のβ 2 -ミクログロブリンの濃度がある。


(5) 鉛の生物学的モニタリングの指標として、赤血球中のδ-アミノレブリン酸の濃度がある。

解答

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(5)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質と代謝物  参照

代謝物の問題は同じ問題が繰り返し使用されることがあるので、まとめの一覧を覚えておくと絞り込みやすくなる。

過去8回の中で(4)と(5)が初めて出題される問題となっている。

(5)少し細かい問題だが、血中ではなくて尿中の尿中δ-アミノレブリン酸の濃度を測定する。

 

 

問5化学物質等の性状及び挙動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 環境空気中の有害物質濃度は、対数正規分布に従って分布していることが多い。


(2) 気体の液体への溶解度は、一般に、液体の温度が高いほど大きい。


(3) 有機溶剤の蒸気密度は、空気の密度より大きいため、低いところに滞留しやすい。


(4) ヒュームの1次粒子の粒径は1 μm 以下と小さく、粒径の分散範囲も狭い。


(5) 鉱物性粉じんは、一般に、水に対する溶解度が極めて小さく、化学的には不活性のものが多い。

解答

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(2)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ②  粉じんと健康障害 参照

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④   化学物質の性質・性状 を参照

(2)一般的に固体が液体に溶けるときは、温度が高いほうがよく溶ける。気体が液体に溶けるときは、反対に温度が低いほうがよく溶ける。なぜかというと、気体の分子運動は温度が高いほど激しく、液体の中に保持することが困難であるから。

 

問6化学物質等による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 塩素は、黄緑色の刺激臭のある気体で、吸入した場合、粘膜や呼吸器が刺激され、高濃度では肺水腫を生じる。


(2) 一酸化炭素中毒の後遺症として、健忘やパーキンソン症状がみられることがある。


(3) 二酸化窒素による慢性中毒では、歯牙酸蝕症、慢性気管支炎などがみられる。


(4) 二酸化硫黄による急性中毒では、咳、眼の痛み、呼吸困難を生じる。


(5) フッ化水素は、細胞内の呼吸酵素の障害による呼吸麻痺などを生じる。

解答

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(5)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質と健康障害  参照

(5)目、粘膜、上気道に強い刺激を与え、 腫れが、上気道の潰瘍を引き起こす。細胞内の呼吸酵素の障害を引き起こす。

設問の「細胞内の呼吸酵素の障害による呼吸麻痺」と書いてある部分が間違い。「細胞内の呼吸酵素の障害による呼吸麻痺」とは、細胞内の酵素と結合し細胞内での酸素利用を阻害する現象。特に脳細胞や心臓細胞は酸素を多く必要とするので、障害が起こりやすい。一酸化炭素や硫化水素、シアン化水素が代表的な原因物質。

 

 

問7化学物質Ⓐとそれによってヒトに生じる主要ながんⒷとの次の組合せのうち、誤っているものはどれか。


       Ⓐ           Ⓑ
(1)  無機ヒ素化合物      肺がん
(2)  ホルムアルデヒド     鼻咽頭がん
(3)  エチレンオキシド     白血病
(4)  1,2-ジクロロプロパン   甲状腺がん
(5)  o -トルイジン       膀胱がん

解答

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(4)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ②  化学物質とがん  参照

(4)と(5)

2011年3月に、大阪市にある印刷会社の中で数人が「肝臓がん」あるいは「胆管がん」を発症して大きな問題となった。この件と2015年12月に福井県のo-トルイジンによる膀胱がんの発症が契機となり、化学物質の管理の在り方が大きく変わることとなった。

 


問8粉じんに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 粉じんの空気力学相当径は、光学顕微鏡で粒子の大きさを計測することによって求められる。


(2) 「吸引性(インハラブル)粉じん」には「吸入性(レスピラブル)粉じん」が含まれる。


(3) アーク溶接ヒュームには、マンガンが含まれていることが多い。


(4)遊離けい酸とは、けい素と酸素が3次元的に結合していて、他の元素とは化学的に結合していない状態の鉱物のことである。


(5) 粉じんが肺胞に到達し沈着して、肺組織に線維増殖性変化を起こすと、肺の換気機能が低下する。

解答

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(1)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ②  粉じんと健康障害 参照

(1)粉じん粒子の空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1 g/cm の球形粒子の直径であり、計算により求められる。

(2)吸引性(インハラブル)、吸入性(レスピラブル)
国際基準であるISO 7708で 粉じんは、吸入した場合の呼吸器への到達の程度に応じて「吸引性粉じん(インハラブル)」「咽頭通過性粉じん(ソラシック)」「吸入性粉じん(レスピラブル)」の3種類に分けられており、粒子は粒径が大きなものは鼻腔や咽頭で沈着するのに対し、粒径が小さいものほど肺胞といった呼吸器の深部まで到達する。

厚生労働省のHPより

 

  

問9金属及びその化合物による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) インジウム化合物では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられるほか、肺に肉芽腫を生じることがある。


(2)クロム化合物のうち、クロムが6価のものはヒトへの発がん性がある。


(3) コバルト及びその無機化合物は、アレルギー性皮膚炎、間質性肺炎などを引き起こす。


(4) 無機ニッケル化合物では、気管支喘息や接触皮膚炎などのアレルギー症状や腎機能障害を生ずる。


(5) マンガンは、脳に沈着しやすく、中毒症状として、歩行障害、発語異常、筋緊張亢進などがみられる。

解答

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(1)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ②  金属と健康障害  参照

(1)インジウム化合物は発がん性や間欠性肺炎の健康障害が報告されている。溶血性貧血、尿の赤色化などの症状は報告されていない。

 

問10有機溶剤の性質及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 有機溶剤は、引火性であるものが多く、ハロゲン化炭化水素は特に引火性が強い。


(2) 二硫化炭素は、低濃度の長期間ばく露では、動脈硬化を進行させ微細動脈瘤を伴う脳卒中や虚血性疾患の発生リスクが高くなり、高濃度の急性ばく露では、精神障害を生じる。


(3) N,N- ジメチルホルムアミドのばく露では、頭痛、めまい、肝機能障害などがみられる。


(4)四塩化炭素は、肝臓や腎臓に障害を引き起こす。


(5) n – ヘキサンによる健康障害として、多発性神経炎があるが、これは、n – ヘキサンの代謝産物である2,5 – ヘキサンジオンにより引き起こされる。

解答

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(1)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質と健康障害  参照

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①  化学物質と代謝物  参照

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 化学物質の性質・性状 を参照

(1)ハロゲン系有機溶剤の利点は溶解性が高く、引火点が低いことである。そのために工業的には多く使われてきた。しかし人体や環境への影響が大きいために別の溶剤に置き換えが進んでいる。

 

 

問11暑熱又は寒冷の環境及びその人体への影響などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)熱中症は、重症度が小さい順にⅠ度からⅢ度までに分類され、熱失神と呼ばれる症状は、Ⅰ度に分類される。


(2) 着用している衣類によっては、算出したWBGT 値に着衣補正値を加える必要がある。


(3) 暑熱順化とは、熱に慣れ暑熱環境に適応することをいい、その方法としては、作業者が暑熱順化していない状態から、7日以上かけて熱へのばく露時間を次第に長くすることなどがある。


(4) 寒冷環境下で体温が低下し始めると、筋肉の弛緩、酸素摂取量の減少などの症状が現れる。


(5) 低体温症は、寒冷環境下で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35 ℃ 程度以下に低下した状態をいう。

解答

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(4)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 暑さ指数(WBGT)について ~ 熱中症の症状について を参照

(1)重症度Ⅰ度の中にはめまい・失神「立ちくらみ」があり、脳への血流が瞬間的に不十分になったことを示し、”熱失神”と呼ぶこともある。

(2)まとめページの一覧のように色々な衣服について細かく補正値が定められている。

(4)通常は寒さの中では熱産生が必要となり、同じ運動でも気温の低い時のほうがエネルギー代謝は高く、酸素消費量は増える。筋肉は寒いと収縮する。設問はどちらも逆である。

(5)低体温症とは、深部体温が35℃以下の状態を指し、32~35℃を軽症、28~32℃を中等症、20~28℃を重症と分類される。

 


問12振動障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 振動障害は、振動工具の使用により発生する手指等の末梢循環障害、末梢神経障害及び運動器障害の3つの障害の総称である。


(2) 振動障害の一つであるレイノー現象は、白ろう病とも言われ、手指が不可逆的にろうのように白く硬直する疾病である。


(3) 喫煙は、レイノー現象発現の増悪因子である。


(4) 周波数補正振動加速度実効値は、振動が人体に与える影響が振動の周波数とその加速度によって異なるため、振動工具の振動加速度実効値に対し周波数帯域ごとに補正を行い、人体に影響を与える振動の強さを表したものである。

解答

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(2)

【解説】

(2)振動障害の一つであるレイノー現象は、白ろう病とも言われ、手指がろうのように白く硬直する疾病である。(不可逆的という記載が誤り)

レイノー症候群は,寒冷刺激や精神的ストレスに対する反応として手の一部に生じる血管攣縮で,単一または複数の手指に可逆的な不快感および変色(蒼白,チアノーゼ,紅斑,またはこれらの組合せ)がみられる。

 

 

問13騒音に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 人間が聴くことができる最も小さな音圧は20 μPaであるとされ、この音圧は、音圧レベルを表す際の基準音圧として用いられている。


(2) 騒音レベルの測定に用いる騒音計の周波数重み付け特性A は、人の聴力の感度が音の周波数によって異なるため、物理的な音の大きさを人が感じる音の大きさとして表すようにしたものである。


(3) 等価騒音レベルは、時間的に変動する騒音レベルのエネルギー的な平均値を表す量で、dBで表す。


(4) 騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の蝸牛の中の有毛細胞が変性することにより起こる。


(5) 騒音防止対策は、大別して、受音者対策、伝ぱ経路対策、音源対策の3つがあり、この順序で実施するが、必要に応じ、これらの複数を組み合わせて実施する。

解答

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(5)

【解説】

騒音障害防止のためのガイドライン【厚生労働省】参照

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 騒音障害 参照

(5)管理区分ごとに3つの対策を単独に、あるいは組み合わせて最も効果的な措置を講じる。これらの対策には優劣(順序)はない。

 

問14酸素欠乏症及び硫化水素中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 酸素欠乏症の重症度には、作業者がその環境に滞在した時間や作業者の身体活動の激しさが影響する。


(2) 酸素濃度が6 %以下の酸欠空気を吸入すると、一呼吸で、昏倒、呼吸停止を起こす。


(3)硫化水素は、特有の腐卵臭があり0.3 ppm程度でも嗅覚により感知できるが、200 ppm以上になると、嗅覚では感知できなくなる。


(4) 硫化水素は、経皮吸収により、全身の脱力や痙攣を起こし、呼吸停止に至ることがある。


(5) 硫化水素は、眼の粘膜の水分に溶け込むと、角膜上皮細胞の破壊による視力障害や、結膜の炎症、充血、腫脹などを引き起こす。

解答

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(4)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 酸素欠乏症と硫化水素中毒 を参照

(5)硫化水素の経皮暴露の場合、全身症状を現すほどではない。

 

 

問15電磁波に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)生物への影響が知られている電磁波は、波長が数メートル以下のものである。


(2) 赤外線は、可視光線よりエネルギーが小さい電磁波で、白内障を起こすことがある。


(3) 紫外線のエネルギーは、分子内の原子の振動エネルギーと同じ領域にあるため、紫外線吸収スペクトルを測定することで、物質の同定や分析を行うことができる。


(4) マイクロ波は、赤外線より波長が長い電磁波で、リンパ球を減少させることがある。


(5) 赤外線、マイクロ波、放送用に使用される中波や短波は、いずれも非電離放射線である。

解答

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(3)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 電磁波 を参照

(1)波長1mがマイクロ波(電子レンジ)の上限なので大体正しいと言える。(調べましたが明確な記載はありませんでした)

 

(3)FTIRについての記載だとすると「赤外線のエネルギーは、分子内の原子の振動エネルギーと同じ領域にあるため、赤外吸収スペクトルを測定することで、物質の同定や分析を行うことができる。」が正しい文章になる。

電子励起状態は、紫外~可視域の電磁波(光)の波長域のエネルギー
振動励起状態は、中赤外~遠赤外の電磁波(光)の波長域のエネルギー
回転励起状態はもっと波長の長い「光」の領域を超えたマイクロ波や電波の領域の波長域のエネルギー によってそれぞれ発生する。

紫外可視分光法で用いる波長領域(190~1100nm)の光を物質に照射すると、分子軌道の基底状態から励起状態への遷移にともなう物質固有の吸収バンドを示す。この吸収バンドにおける吸光度と物質濃度の関係を利用して物質の定量が行われる。

問16電離放射線及びその生体影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) α 線、β 線及びγ 線の中で、電離作用が最も強いものはα 線である。


(2) 電離放射線の被ばくによる人体に対する影響は、遺伝的影響と身体的影響に分類される。


(3) 電離放射線の被ばくによる身体的影響は、早期影響と晩発影響に分類され、がんや白内障は晩発影響に分類される。


(4) 発がんや遺伝的影響は、確率的影響である。


(5) 確率的影響には、しきい値がなく、被ばく線量が増えると障害の重篤度も増す。

解答

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(5)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 電離放射線 を参照

(1)α線、β線、γ線の透過力と電離作用の関係は下記の通り。

 

(5)確率的影響は被ばく線量が増加するほど発生確率も単調に高くなり、発病した場合の重篤度は被ばく線量の大小には関係しないという特徴がある。

   確定的影響はしきい線量を超えて被ばくすると、被ばく線量が大きくなるにつれて症状は重くなっていく。

 

問17局所排気装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 建築ブース型フードは囲い式フードに分類される。


(2) 局所排気装置にフードが2箇所以上ある場合には、枝ダクトにダンパーを設けて各フードの排風量のバランスをとる。


(3) ダクトの断面積が同じである場合、断面が円形のダクトは長方形のダクトに比べて圧力損失が小さい。


(4) 局所排気装置に付設する除じん装置は、一般に、電気除じん方式のものよりもマルチサイクロン方式のものの方が、小さい粒径の粉じんを除くことができる。


(5) 排風機の方式には、吸気に対して直角方向に排気する遠心式と、吸気と反対方向に排気する軸流式があるが、局所排気装置には一般に遠心式が使われる。

解答

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(4)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 局所排気装置 を参照

(2)ダクトの長さ、ベンド(曲がり)などの条件で各フードへの排風量が一定にならない。そのためダンパーと呼ばれる空気流量制御弁で排風量のバランスをとる必要がある。

ダンパー

(3)長方形は四隅が気流の通路として利用されないので、同じ断面積でも利用される断面積は小さい(=圧力損失が大きい)。同じ断面積でも長方形のほうが断面積が小さいと計算される。すなわち長方形のほうが圧力損失が大きい。

(4)電気除じん方式のほうが小さい粒径の粉じんを除くことができる。

(5)遠心方式は高圧を出せる強みがあるため、局所排気装置で多く用いられる。軸流方式は高圧を出しにくいため、圧力損失が生じにくい設備で多く用いられている。(パソコンのファンや扇風機など)

 

問18労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) 遮光保護具には、遮光度番号が定められており、遮光度番号が大きいものほど可視光透過率が小さい。


(2) 聴覚保護具の遮音性能を示すSNR 値は、数値が大きいほど遮音性能が高い。


(3) 化学防護手袋は、使用する化学物質の種類及び使用時間に応じた耐透過性を有するものを選択するが、乾燥、洗浄等を行っても化学防護手袋内部に侵入した化学物質は除去できないため、使用可能時間を超えた化学防護手袋は使用しない。


(4) 防じんマスクの粒子捕集効率は3段階に区分されているが、使い捨て式のものは、取替え式のものに比べ、同じ区分のものであっても粒子捕集効率が低い。


(5) 吸気補助具付き防じんマスクは、吸気補助具によって面体内に清浄な空気を送るもので、作業者の呼吸を補助し、息苦しさを軽減するものである。

解答

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(4)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 呼吸用保護具の種類~その他保護具 を参照

(1)

(4)取替え式、使い捨て式共に捕集効率は変わらない。

 

問19防毒マスクに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 吹付け塗装作業など有機溶剤の蒸気と塗料の粒子等が混在している場合には、防じん機能を有する防毒マスクか送気式又は給気式のマスクを用いる。


(2) 複数の種類の有毒ガスが混在している場合には、そのうち最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用する。


(3) 有機ガス用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にある。


(4) 一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は、触媒作用を用いているため、低濃度では、一酸化炭素の除毒効率が低くなる。


(5) 複数の種類の有毒ガスが混在している場合、破過した後の吸収缶をそのまま使用していると、環境濃度よりも高濃度のガス又は蒸気を吸入するおそれがある。

解答

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(2)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 防毒マスク を参照

(2)複数の種類の有害ガスが混在している場合において、全ての有害ガスに有効な防毒マスクがないときには防毒マスクは使用しない。その際は、送気マスクか自給式呼吸器を使用する。

(5)揮発性の低い物質により揮発性の高い物質が脱着を引き起こし、環境濃度よりも高濃度のガス又は蒸気を吸入するおそれがある。

複数の種類のガス ガスA(揮発性が高い)、ガスB(揮発性が低い)があるとして、それらが吸着材に捕捉されて破過されたとする。その後も使用していくと、ガスAがガスBに追い出されていくこととなり、ガスAが環境濃度よりも高濃度で呼吸域に行く場合がある。

 

問20作業環境評価基準に定める「管理濃度」及び日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1) A 測定の第二評価値とは、単位作業場所における気中有害物質の算術平均濃度の推定値である。


(2) 作業環境測定の対象物質のうち、有機溶剤には全て管理濃度が定められているが、特定化学物質の中には管理濃度が定められていないものがある。


(3) 粉じんの許容濃度は、「第1種粉塵」、「第2種粉塵」、「第3種粉塵」の中では、「第1種粉塵」が最も小さい。


(4) 許容濃度の経皮吸収欄に「皮」と記載のある物質は、皮膚と接触することにより、経皮的に吸収される量が、全身への健康影響又は吸収量からみて、無視できない程度に達することがあると考えられる物質である。


(5) 許容濃度等の勧告において、人に対して発がん性があると判断できる物質は、発がん性分類第1群に分類されているが、これらの物質には許容濃度は定められていない。

解答

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(5)

【解説】

作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 管理濃度や許容濃度等 を参照

問20は 許容濃度等の勧告(2022年度) から主に出題されている。

(2)測定対象物質の中には、管理濃度が定められていない物質がある。(例:インジウム)

(3)下表参照

(5)発がん性分類第1群に分類されている物質は、調べた限り全て許容濃度が定められていた。

下表はエチレンオキシドが発がん性分類第1群であり、許容濃度が定められている。

 

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