皮膚等障害化学物質等の製造 ・取り扱い時に「不浸透性の保護具の使用 」 が義務化
2024年(令和6年)4月1日~ 皮膚等障害化学物質等の製造 ・取り扱い時に「不浸透性の保護具の使用 」 が義務化されています。
保護手袋の義務化と言ったほうが馴染みが深いでしょうか。
どの物資にどの保護具を選んだら良いかをまとめてみました。
詳しくは厚生労働省発行の「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照願います⇒PDF
※このページの図は厚生労働省の「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル(概要)」から引用しています。
皮膚等障害化学物質とは?
皮膚等障害化学物質は皮膚刺激性有害物質(①)、皮膚吸収性有害物質(②)が存在します。
PCからはこちらを参照⇒Excel
皮膚刺激性有害物質(①)
皮膚または眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質→局所影響(化学熱傷、接触性皮膚炎など)
皮膚吸収性有害物質(②)
皮膚から吸収され、もしくは皮膚に侵入して、健康障害のおそれがあることが明らかな化学物質→全身影響(意識障害、各種臓器疾患、発がんなど)
適切な保護具の選定方法
手順は1~3になります。(手順4は必須ではありません)
手順1(作業等の確認)
● 取 扱 物 質 が 皮 膚 等 障害 化 学物 質 か
・取扱物質のSDSやメーカーのウェブサイトを確認し、 「15.適用法令」の表示に「皮膚等障害化学物質等」の記載の有無を確認する。
・SDSの危険有害性の区分を確認し「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、または「呼吸器感作性又は皮膚感作性」のいずれかが区分1である場合は、「皮膚等障害化学物質等」に該当する。
・SDSの「15.運用法令」や有害性区分に該当する記載がない場合は、「3.組成、成分情報」の成分名をリストに掲載されている物質リストと照合し、該当の有無を確認する。
⇒成分の名称と参考資料1の物質リストを照合し、皮膚刺激性有害物質または皮膚吸収性有害物質の欄に「●」の記載がある場合、皮膚または皮膚を介して健康への影響がある皮膚等障害化学物質と判断することができる。
この場合、不浸透性の手袋などの保護具を着用しなければならない。
リスト
●作業内容 と時間を確認
化学物質が、誰に、どのような状況で付着する可能性があるかを確認する。以下の確認シート(例)を参考に確認する。
手順2(化学防護手袋のスクリーニング)
手順2 その1 使 用可 能 な耐透 過 性 ク ラ ス の確 認
前項で確認した作業時間・内容に応じて、下表より使用可能な耐透過性クラスを確認する。
●作業時間
・作業時間に応じて、60分以下、60分超240分以下、240分超の3つのうちいずれに該当するか確認する。
※なお、作業時間は化学防護手袋を装着してから脱着するまでの時間。
●作業内容に応じた作業分類
・作業内容に応じて、通常時・異常時において、化学物質が皮膚へ付着する状況を考慮し、作業分類を行う。
・作業分類は、「作業分類1(接触が大きい作業)」、「作業分類2(接触が限られている作業)」、 「作業分類3(接触しないと想定される作業)」の3つ。
手順2 その2 使 用可 能 な耐透 過 性 ク ラ ス の確 認
・耐透過性能一覧表から、取り扱う化学物質の情報を「CAS登録番号」もしくは「物質名称」で検索する。
・スクリーニング手順①で確認した使用可能な耐透過性能を満たす材料を確認し、それらの材料を候補とし、実際の製品を選択する。
下記のリンクを開いて頂くと判ると思いますが、このような表で示されています。
【 混 合 物 取 り 扱 い 時 の 対 応 】
混合物を取り扱う際は、一覧表の情報や混合物に対する耐透過試験を行う等で、混合物中の全ての物質に対して、作業時間中に破過しない材料から手袋を選定する。しかし、全ての物質に対して60分以上の材料が存在しない場合は、対応方針を検討する。考え方の例は以下のとおり。
例1)混合物中の複数の化学物質に対する破過時間が最も長く使用できる材料から手袋を選定する混合物中の皮膚等障害化学物質に該当する複数の化学物質に対して最も良い耐透過性能を示す材料を選択する。使用する際は、選択した材料の手袋のうち最も短い耐透過性能を示す物質の作業時間以内に交換する。
混合物中の化学物質に対する耐透過性クラスが最も長い材料から手袋を選択する。
(混合物に対して、全ての物質に対して耐透過性能を示す材料を選択する。)
具体的な化学防護手袋の選択の例を示す。
・ 全て△以上の耐透過性を有するブチルゴム(0.35mm)もしくはバイトン/ブチル(0.3mm)の材料の手袋を使用。
・ △でよいかどうかは、手順3の表で確認する。
【 混 合 物 取 り 扱 い 時 の 対 応 】
混合物を取り扱う際は、一覧表の情報や混合物に対する耐透過試験を行う等で、混合物中の全ての物質に対して、作業時間中に破過しない材料から手袋を選定する。しかし、全ての物質に対して60分以上の材料が存在しない場合は、対応方針を検討する。考え方の例は以下のとおり。
例2)混合物中の化学物質がいずれも透過しないよう、複数の材料の手袋を重ねて選定する皮膚等障害化学物質等に該当する化学物質のいずれについてもスクリーニング手順1で整理した使用可能な耐透過性能を満たすように、複数材料を選択する。使用する際は、選んだ複数の材料の手袋を重ねて使用する。
混合物中の化学物質がいずれも透過しないよう複数の材料を選択する。
(作業時間、作業分類から必要な耐透過性能に応じて材料を選択する)
化学防護手袋の選択の例を示す。
・ ◎の材料を選ぶ場合(全ての化学物質の耐透過性能が「◎」となる) :ニトリルゴム(0 .45mm)と多層フィルム(LLDPE)(0 .062mm)を重ねて使用
・ ○の材料を選ぶ場合(全ての化学物質の耐透過性能が「○」となる) :ニトリルゴム(0 .2mm)と多層フィルム(LLDPE)(0 .062mm)を重ねて使用
・ △の材料を選ぶ場合(全ての化学物質の耐透過性能が「△」となる) :ネオプレンゴム(0 .18mm)とPVA(-)を重ねて使用
手順3 製品の性能確認
同じ材料の手袋であったとしても、各社の製品によって性能は異なる。そのため、材料を絞り込んだ後、その材料が用いられている実際の製品情報を確認する必要がある。
具体的には、スクリーニングで材料を絞り込んだ後、実際の製品の説明書等を調べ、耐透過性・耐浸透性情報を確認し、実際の作業時間と比較を行い、適しているかを判断する。作業分類 2 については、対応表に基づく使用可能な耐透過性クラスと比較し判断する。
①規格
・ 製品がJIS T 8116(化学防護手袋)又はASTM F 739、EN ISO 374に適合しているものかを確認する。
・ JIS T 8116は化学防護手袋の性能に関して、試験方法等を定めているものであり、基本的にはJIS T 8116に準じている製品を使用することが望ましい。
・ 海外製品ではASTM F739に準じていることがあるが、JIS T 8116と互換性のある規格であるため、使用して問題ない。また、EN ISO 374については、透過速度の考え方が多少異なるが、概ね同等と扱ってよい。
②材料
・ 材料がスクリーニングで絞り込んだものと一致しているかを確認する。また、厚さについても併せて確認する。
・ 製品によっては商標名で記載されているものもあるため、注意が必要である。
③ 耐 浸 透 性 能
・ 耐浸透性能のクラス(クラス1~4)を確認する。
④ 耐 透 過 性 能
・ 耐透過性能のクラス(クラス1~6)を確認する。
・ 取り扱う化学物質の有害性や作業内容・時間を考慮し、十分な耐透過性クラスを有しているかを確認する。耐透過性能に関する情報が得られない場合は、耐透過性能一覧表のデータにより選択して差し支えない。
手順4 (オプション):保護具メーカーへの問い合わせ
【保護具メーカーへの問い合わせ】
・ より高度な管理のため、より詳細な情報を入手したい場合などについては、必要に応じて保護具メーカーに問合わせることも考えられる(必須ではない)。
・ 問合せ時、取扱物質製品の SDS とともに下記の項目等について連絡するとよい。