作業環境測定士 令和5年2月 労働衛生一般
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問1 厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) リスクの見積りは、リスク低減の優先度を定めるために行うものであるので、必ずしも数値化する必要はなく、相対的な分類でも差し支えない。
(2)個人ばく露濃度をばく露限界と比較する手法によりリスクを見積もった結果、ばく露濃度がばく露限界を相当程度下回る場合は、リスク低減措置を検討する必要はない。
(3) 個人用保護具の使用によるばく露低減対策は、機械設備の密閉化等の衛生工学的対策、マニュアルの整備等の管理的対策等、より優先順位の高い対策を講じても十分にリスクを低減できない場合に行うべき対策である。
(4) リスク低減措置の検討において、より優先順位の高い措置を実施すれば十分にリスクが低減される場合には、その措置よりも優先順位の低い措置の検討は必要ない。
(5) 過去に実際に発生した負傷又は疾病のうち、最も重篤であったものの重篤度を、リスクの見積りの際における重篤度として見積もる。
解答
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(5)
【解説】
(1)指針の「9 リスクの見積もり(1)ア」に記載されている内容である。マトリックス法が相対的に尺度化する方法である。
(2)指針の「10 リスク低減措置の検討及び実施(1)」に記載されている内容である。その費用やエネルギーをよりリスクの高い場所に注ぐべきである。
(3)労働衛生の3管理の基本的考え方
(4)指針の「10 リスク低減措置の検討及び実施(2)」に記載されている内容である。
(5)「9.リスクの見積もり(3)」に記載されている 。過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状態を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度で見積もること、と記載されている。
※「最悪の状態を想定した最も重篤~」について、極端なケースまで想定すると、全ての災害が死亡災害となってしまうことが考えられる。これでは重大性を見積もっている意味が無くなることから、非常識なケースまでを想定することなく、常識的な範囲で想定することでよいと中災防では指導している。
問2 厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づいて行う次の措置のうち、誤っているものはどれか。
(1) 書類上及びキーボード上における照度は、300 ルクス以上になるようにする。
(2) 一連続作業時間が1 時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~ 15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1 回~ 2回程度の小休止を設ける。
(3) ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと、周辺の明るさの差は、なるべく大きく明瞭にする。
(4)情報機器作業を行う作業者の健康診断は、一般健康診断を実施する際に、併せて実施することができる。
(5)新たに情報機器作業を行うこととなった作業者に対する配置前健康診断における視力検査として、遠見視力及び近見視力の検査を行う。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 情報機器作業における労働衛生管理 を参照
(3)4.作業環境管理(1)照明及び採光に「ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。」と記載されている。
問3 化学物質の吸収、代謝、蓄積等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) キシレンは、代謝されて、尿中にメチル馬尿酸として排泄される。
(2) テトラクロロエチレンの生物学的モニタリングの指標として、尿中のテトラクロロエタンの濃度がある。
(3) スチレンは、代謝されて、尿中にマンデル酸が排泄される。
(4) 鉛の生物学的モニタリングの指標として、赤血球中のプロトポルフィリンの濃度がある。
(5) トルエンの生物学的モニタリングの指標である尿中馬尿酸の濃度は、飲食物中の安息香酸の量が増加すると高くなることがある。
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ① 化学物質と代謝物 参照
(2)テトラクロロエチレンの生物学的モニタリングの指標として、尿中の総三塩化物の濃度がある。
問4 化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 塩素は、黄緑色の刺激臭のある気体で、吸入した場合、粘膜や呼吸器が刺激され、肺水腫に至ることもある。
(2) 硫化水素による中毒では、意識消失、呼吸麻痺などを生じる。
(3) エチレンオキシドは、眼、上部気道、皮膚を刺激したり、肺水腫を起こすほか、ヒトに対する発がん性が知られている。
(4) 窒素は、無色、無臭の気体であるが、高気圧作業においては麻酔作用などが現れる。
(5) 一酸化炭素による中毒では、ヘモグロビン合成の阻害による貧血がみられる。
解答
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(5)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ① 化学物質と健康障害 参照
(5)血液中のヘモグロビンと一酸化炭素が強く結合し、酸素とヘモグロビンとの結合を阻害し、体内の各組織が酸欠状態を起こす。ヘモグロビンの合成を阻害する訳ではない。
問5 化学物質Ⓐとそれによって生じる主要ながんⒷとの次の組合せのうち、誤っているものはどれか。
Ⓐ Ⓑ
(1) o-トルイジン / 膀胱がん
(2)石綿 / 肺がん
(3)ベンゼン / 膀胱がん
(4) 塩化ビニルモノマー / 肝血管肉腫
(5) ビス(クロロメチル)エーテル / 肺がん
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ② 化学物質とがん 参照
(3)ベンゼンは造血器障害を引き起こす
問6 鉱物性粉じんに関する次の㋑から㋥の記述について、誤っているものの組合せは下のうちどれか。
㋑鉱物性粉じん中の遊離けい酸は、胸膜プラーク(肥厚斑)の主要な原因である。
㋺吸入性粉じんの分粒装置は、空気力学相当径4 μm の粉じん粒子を50 % 透過する性能を有する。
㋩同一鉱物の破砕による堆積粉じんと浮遊粉じんでは、遊離けい酸の含有率は必ずしも同じではない。
㋥粉じんの空気力学相当径は、光学顕微鏡による粒径測定によって求められる。
(1)㋑ ㋺
(2) ㋑ ㋥
(3) ㋺ ㋩
(4) ㋺ ㋥
(5) ㋩ ㋥
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ② 粉じんと健康障害 参照
㋑遊離けい酸は、肺胞の上皮細胞に沈着し、線維増殖が起こってけい肺結節が形成される。胸膜肥厚(プラーク)が起こるのは石綿である。
㊁粉じんの空気力学相当径は、計算によって求められる。
問7 金属等による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) カドミウムによる慢性中毒では、腎機能障害、肺気腫、肺がんなどがみられる。
(2) ヒ素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、末梢神経障害、鼻中隔穿孔、肺がんなどの障害がみられる。
(3) ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。
(4) 金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどがみられる。
(5) 金属熱は、亜鉛や銅などのヒュームを吸入して発生する疾病で、悪寒や発熱、関節痛などの症状がみられる。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ② 金属と健康障害 参照
(3)ベリリウムは皮膚障害、気道・肺障害、慢性中毒としては肺に肉芽腫を生じる。
問8 有機溶剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1 )メタノールによる健康障害として顕著なものは、網膜細動脈瘤を伴う脳血管障害である。
(2) アセトンは、脂溶性及び水溶性を共に有しており、トルエンは脂溶性は有しているが水溶性は有していない。
(3) N,N- ジメチルホルムアミドの極性は、トルエンの極性より大きい。
(4)二硫化炭素は、高濃度ばく露により、精神障害を起こす。
(5) 塩素化炭化水素系有機溶剤は、一般に、肝臓に対する毒性が強い。
解答
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(1)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ① 化学物質と健康障害 参照
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 化学物質の性質・性状 を参照
(1)メタノールは眼に対する重篤な損傷、視神経障害などである。網膜微細動脈瘤を伴う脳血管障害は二硫化炭素の症状である。
(2)水溶性と不溶性の判定は難しいかもしれないが、ベンゼン環を持っていると水溶性が無いと思ってもらえばよい。
(3)トルエンやキシレンなどベンゼン環が付くと極性が小さくなる(非局在化という)
(5)クロロ(クロル、塩化)、ブロモ(臭化)、ヨード(ヨウ化、沃化)と付く物質はハロゲン化物といい、一般的に肝臓に対する毒性が強い
問9 温熱環境及び人体の適応等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 熱けいれんは、高温の環境下での大量の発汗により、体内の水分が急激に減少したときに生ずる。
(2) 日射がない場合のWBGT は、自然湿球温度及び黒球温度の数値から算出される。
(3) WBGT 基準値は、同一作業であっても、熱に順化していない人の方が熱に順化している人よりも、小さい値となる。
(4) WBGT 基準値は、身体に対する負荷が大きい作業の方が、負荷が小さい作業より小さい値となる。
(5) 発汗のうちで、高温環境下で体温調節のために発生するものは温熱性発汗と呼ばれ、手のひら、足の裏を除く全身にみられる。
解答
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(1)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 暑さ指数(WBGT)について ~ 熱中症の症状について を参照
(1)熱けいれんは、大量の発汗があり、水のみを補給した場合に血液中の塩分濃度が低下して生じる。
(3)WBGT基準値は耐えられる温度(実際には算出したWBGT)というイメージで考えればいいので、慣れていない人のほうが低くなる。
(4)
(4)「身体負荷が大きい作業と身体負荷が小さい作業を行うとき、何℃まで耐えられる?」という質問があれば、誰だって身体負荷が大きい作業のほうが温度が低いと言うはずです。WBGT基準値は耐えられる温度(実際には算出したWBGT)というイメージで考えればいいと思います。
問10 局所振動障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 振動障害は、振動の周波数が高いほど起こりやすい。
(2) 振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断を1年に2回実施する場合、そのうち1回は冬季に行うとよい。
(3) レイノー現象は、血管のれん縮により血流が減少するために生じる。
(4) 厚生労働省の「チェーンソー取扱い作業指針」によれば、日振動ばく露限界値は、5.0 m/s2である。
(5) 厚生労働省の「チェーンソー取扱い作業指針」によれば、日振動ばく露対策値は、2.5 m/s2 である。
解答
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(1)
【解説】
(1)振動が及ぼす人体への影響は、その周波数によって影響部位が異なる。周波数が低い場合、筋肉や骨、関節への悪影響があり、周波数が高い場合、血管系や神経系への悪影響が大きくなる。
この問題は「振動の周波数が高いほど起こりやすい」という記載が誤りで、「振動の周波数により色々な障害が起こりうるので、一概に言えない」と考える問題だと思われる。
したがって「振動の周波数が低いほど起こりやすい」っていうのも正しくない。
正しいのは「振動の周波数補正振動加速度実効値が高いほど起こりやすい」である。
問11 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に関する次の㋑から㋥の記述について、誤っているものの組合せは下のうちどれか。
㋑満18歳以上の男性労働者では、人力のみにより取り扱う物の重量は、体重のおおむね40 % 以下となるようにする。
㋺直接床に座る座作業は、腰掛け作業に比べ、仙腸関節や股関節にかかる負担が少ない。
㋩満18歳以上の女性労働者では、人力のみにより取り扱う物の重量は、男性が取り扱うことのできる重量の60 % 位までとする。
㋥重量物取扱い作業では、腰部保護ベルトをできるだけ使用するようにする。
(1) ㋑ ㋺
(2) ㋑ ㋥
(3) ㋺ ㋩
(4) ㋺ ㋥
(5) ㋩ ㋥
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ①職場における腰痛予防対策指針 参照
㋺床に座って行う作業は、股関節や仙腸関節(脊椎の根元にある関節)などに負担がかかるため、できるだけ避けるようにする。
㊁腰部保護ベルトは、個人ごとに効果を確認した上で、使用するかどうか判断する。
腰痛保護ベルトは、装着することで腹圧上昇や骨盤補強効果などで腰痛の予防効果を狙ったものとされるが、腰部保護ベルトの腹圧を上げることによる体幹保持の効果については、見解が分かれている。職場では、装着により効果を感じられることもあるが、腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもある。また、女性労働者が、従来から用いられてきた幅の広い治療用コルセットを使用すると骨盤底への負担を増し、子宮脱や尿失禁が生じやすくなる場合があるとされている。このことから、腰部保護ベルトを使用する場合は、労働者全員が一律に使用するのではなく、労働者に腰部保護ベルトの効果や限界を理解させるとともに、必要に応じて産業医(又は整形外科医、産婦人科医)に相談することが適当である。
問12 酸素欠乏症及び硫化水素中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 空気中の酸素濃度が15 ~ 16 % 程度の酸素欠乏状態では、一般に頭痛、吐き気などの症状がみられる。
(2) 海水が滞留している暗きょの内部での作業では、硫化水素中毒の危険がある。
(3) 石炭、硫化鉱又は魚油を入れてあるタンクの内部での作業では、硫化水素中毒の危険がある。
(4) 酸素欠乏危険作業を行う場所において、爆発、酸化等を防止するため換気を行うことができない場合には、空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクを備え、労働者に使用させる。
(5) 第一鉄塩類を含有している地層に接するたて坑の内部での作業では、酸素欠乏症の危険がある。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ③ 酸素欠乏症と硫化水素中毒 を参照
(3)石炭、硫化鉱又は魚油を入れてあるタンクの内部での作業では、酸素欠乏症の危険があるが、硫化水素中毒の危険はない。
問13 電磁波に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)紫外線は、可視光線より波長が短い電磁波で、電気性眼炎を起こすことがある。
(2) 赤外線は、高温の物体から放射される電磁波で、白内障を起こすことがある。
(3) 短波や中波などの電波、可視光線、γ線などは電磁波である。
(4)レーザー光線は、単一波長で位相のそろった可視光線のことで、指向性や集束性が強く、エネルギー密度が高いという特徴を持つ。
(5) マイクロ波は、赤外線より波長が長い電磁波で、組織壊死を起こすことがある。
解答
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(4)
【解説】
(4)この問題は令和3年8月に出たのですが、初見では私には難しかったです。消去法で(4)になるのですが、なぜか理解するのに3分位時間がかかりました。レーザー光はすべてが可視光ではありません。
例えばYAGレーザーは、汎用マーキング用途で使用され、樹脂材を始め金属材へのマーキングやトリミングなどの加工用途で使用されます。その波長は、1064nmで近赤外光で目には見えません。
問14 電離放射線及びその生体影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 放射線による皮膚障害のうち、脱毛には潜伏期があり、晩発障害に分類される。
(2) X 線とγ線は、波長の長短ではなく、その発生過程の違いによって区別される。
(3) 白内障は、晩発障害に分類される確定的影響である。
(4) α線、β線及びX 線の中で、透過力が最も強いものはX 線である。
(5) 白血病は、晩発障害に分類される確率的影響である。
解答
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(1)
【解説】
(1)放射線による皮膚障害のうち、脱毛には潜伏期があり、急性影響に分類される。
問15 化学物質の性状及びその挙動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 有機溶剤の蒸気密度は、空気の密度より大きいため、低いところに滞留しやすい。
(2) 環境空気中の有害物質濃度は、正規分布に従って分布していることが多い。
(3) 空気中に浮遊する粉じんは、密度が同じであれば粒径が小さくなるほど、沈降速度は遅くなる。
(4) ミストは、空気中に浮遊している液体の微粒子で、形は球形をしている。
(5) 臨界温度以下において、気体として存在するものを蒸気という。
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 化学物質の性質・性状 を参照
(1)密度の小さいヘリウムの風船が上に行くのと逆のことである。
(2)環境空気中の有害物質濃度は、”対数”正規分布に従って分布していることが多い。
問16 局所排気装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)囲い式フードの排風量は、開口面の平均風速と開口面積との積で表わされる。
(2) 外付け式フードでは、熱による上昇気流がある場合などを除き、一般に、上方吸引型より下方吸引型の方が有効である。
(3) 外付け式フードの制御風速とは、作業者の呼吸位置において必要となる最小の風速である。
(4)ダクトの断面積が同じである場合、断面が長方形のダクトは円形のダクトに比べて圧力損失が大きい。
(5) 一定の排風量のもとでは、ダクトの断面積を大きくすると、圧力損失は小さくなり、搬送速度は遅くなる。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ④ 局所排気装置 を参照
(2)有機溶剤は空気より重いため、下に行こうとする。それを上方吸引型で引くのは非効率である。
(3)外付け式フードの制御風速は、有害物質を吸引しようとする範囲内におけるフードの開口面から最も離れた点における風速である。
作業者の呼吸位置で制御風速が出ていると確かに理想かもしれないが、外付け式フードの開口面から離れすぎていて、とても多くの風量が必要である。そのためフードの開口部と呼吸位置の中間にある、「発散源のフードから最も離れた点」で制御風速を設定している。
(4)長方形は四隅が気流の通路として利用されないので、同じ断面積でも利用される断面積は小さい(=圧力損失が大きい)。同じ断面積でも長方形のほうが断面積が小さいと計算される。すなわち長方形のほうが圧力損失が大きい。
(5)ストローで吸うことをイメージするとわかり易い。細いストローは吸うのが辛い(圧力損失が大きい)し、搬送速度は速い。その逆のことである。
問17 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) アーク溶接作業に用いられる遮光保護具は、レーザー機器取扱作業において保護めがねとして使用してはならない。
(2) 使い捨て式防じんマスクは、厚生労働大臣の規格が定められており、国家検定の対象である。
(3) 送気マスクは、酸素濃度が18 % 未満の空気中でも使用することができる。
(4) 防じんマスクの装着の際、面体と顔面の密着性を高めるため、原則として、面体の接顔部に接顔メリヤスを使用してはならない。
(5) 放射性物質による汚染のある区域内の作業で、オイルミストが混在する場合に使用する防じんマスクの区分はRS 3 である。
解答
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(5)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 呼吸用保護具の種類~その他保護具 を参照
(5)オイルミストは液体なので、液体粒子用(L)を使用する必要がある。従ってRL3を使用する必要がある。
問18 防毒マスクに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) アンモニア用防毒マスクの吸収缶の色は緑色であり、硫化水素用防毒マスクの吸収缶の色は黄色である。
(2)防毒マスクのアンモニア用吸収缶は、アンモニアの濃度が低いと触媒作用が緩慢になり、効率が低い。
(3) シアン化水素用防毒マスクの吸収缶の色は、青色である。
(4) 一酸化炭素用防毒マスクは、ホプカライトを使用し、触媒作用により一酸化炭素を無害化している。
(5) 有機ガス用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の温度が高いほど破過時間が短くなる傾向がある。
解答
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(2)
【解説】
(2)これは一酸化炭素用吸収缶の説明である。一酸化炭素用吸収缶は、触媒作用で一酸化炭素を二酸化炭素に変えるが、高濃度でないと触媒が十分に反応を起こさないので、濃度が低いと逆に破過時間が短くなる。反応を起こすと熱を発するが、有効時間内でも一度使用を中断すると冷やされたときに酸化剤の表面に水分が付着し二度と反応しなくなるため、一度しか使用できない。全くの無臭のガスなので、長時間作業時や低濃度時は送気マスクや空気呼吸器の使用が望ましい。
(5)気体は温度が高いほど分子運動が激しい。温度が高いと吸収缶に一度吸着されてても脱離しやすく、破過時間が短くなる。
問19 職場における健康障害及びその要因等に関する次の㋑から㋥の記述について、誤っているものの組合せは下のうちどれか。
㋑ノロウイルスは、ベロ毒素を産生するウイルスで、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。
㋺感染型食中毒は、食物に付着している細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものなどがある。
㋩潜水業務における減圧症は、浮上による急激な減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた二酸化炭素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することによって発生する。
㋥インフルエンザウイルスにはA 型、B 型及びC 型の三つの型があるが、流行するのは、主として、A 型及びB 型である。
(1) ㋑ ㋺
(2) ㋑ ㋩
(3) ㋺ ㋩
(4) ㋺ ㋥
(5) ㋩ ㋥
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 職場環境における健康障害 を参照
㋑ノロウイルスによる食中毒は、食品、嘔吐物などの飛沫から経口的に摂取されたノロウイルスが体内で増殖して発症するものであり、食品中で増殖したウイルスの毒素による発症ではない。ベロ毒素を産生するのはO-157と言われる腸管出血性大腸菌である。
㋩二酸化炭素ではなく窒素が気泡となる。
問20 作業環境評価基準に定める「管理濃度」及び日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有機溶剤の管理濃度は、全てppm で表記されている。
(2)A 測定においては、管理濃度は、測定値を統計的に処理したものと対比するもので、個々の測定値と直接対比するものではない。
(3) 粉じんの管理濃度は、その粉じんに含まれる吸入性粉じんの含有率(%)を用いて算出される。
(4) 許容濃度の数値は、経皮吸収がないことを前提として定められたものである。
(5) 許容濃度等の勧告において、ヒトに対する発がん性については、第1群、第2群A 及び第2群B の3種類に分類されている。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 労働衛生一般 まとめ⑤ 管理濃度や許容濃度等 を参照
(3)その粉じんに含まれる遊離けい酸の含有率(%)を用いて算出される
(5)これは単独で聞かれると難問です。
許容濃度の勧告(⇒PDF)を参照すると第1群、第2群A、第2群Bの3種類に分類されている。
参考までにGHSの分類だと区分1(区分1A、区分2A)と区分2の3種類に分類されている。
このGHSはまだしも、許容濃度の勧告の分類を調べずに判る人はそんなに多くないと私は思います。