有機溶剤作業主任者への道
有機溶剤作業主任者とは
まずは何をするための資格か書いたほうが判りやすいと思います。
皆さんの職場でこのような表示を見たことがあると思います。
ここに書いてあることが有機溶剤作業主任者の仕事です。
1.作業に従事する労働者が有機溶剤により汚染され、又はこれを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
2.局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。
3.保護具の使用状況を監視すること。
4.タンクの内部において有機溶剤業務に労働者が従事するときは、第26条各号に定める措置が講じられていることを確認すること。
労働者を指揮すること、保護具の使用状況を監視することなど、日常の仕事をしているなかでの職務が多くあります。
したがって、作業場ごとに直ごとに一人選任する必要があります。昼でも夜でも深夜でも作業中は有機溶剤作業主任者の選任が求められています。(昭47・12・23基発第799号)
作業場というのは一般的に作業主任者が職務を遂行できる範囲という意味です。全社で1人という考え方もできると思いますが、本当に全ての職場に目が行き届いているかに着目して選任する必要があると思います。
ところで有機溶剤ってなに?
有機溶剤中毒予防規則に定められた有機溶剤が対象です。
法令改正により数は結構頻繁に変わりますが、下記の44種類です(22年2月現在)
これ以外の有機溶剤を扱うときは作業主任者は不要か?といわれれば不要です。
しかしこの44種は有害性が高い順から選んだものではありません。むしろメタノールは有機溶剤の中では有害性が低いレベルだと思います。
したがって、有機溶剤は総じて有害性を持つものと考え、取扱者は有機溶剤作業主任者の知識は不可欠だと思います。是非とも対象外の職場でも作業主任者の技能講習を受けてほしいと思います。
・1,2-ジクロルエチレン
・二硫化炭素
・アセトン
・イソブチルアルコール(イソブタノール)
・イソプロピルアルコール(IPA)
・イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール)
・エチルエーテル
・エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)
・エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)
・エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)
・オルトジクロロベンゼン
・キシレン
・クレゾール
・クロロベンゼン
・酢酸イソブチル
・酢酸イソプロピル
・酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)
・酢酸エチル
・酢酸ブチル
・酢酸ノルマルプロピル
・酢酸ノルマルペンチル(酢酸ノルマルアミル)
・酢酸メチル
・シクロヘキサノール
・シクロヘキサノン(アノン)
・N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
・テトラヒドロフラン(THF)
・1,1,1-トリクロロエタン
・トルエン
・ノルマルヘキサン
・1-ブタノール
・2-ブタノール
・メタノール
・メチルエチルケトン(MEK)
・メチルシクロヘキサノール
・メチルシクロヘキサノン
・メチルノルマルブチルケトン
・ガソリン
・コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)
・石油エーテル
・石油ナフサ
・石油ベンジン
・テレビン油
・ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペンを含む。)
受験資格や合格率
有機溶剤作業主任者技能講習の受講に制限はないようです。ただし、18歳未満の人は有機溶剤業務に就くことができず、有機溶剤作業主任者への選任は一般的ではないようです。
試験の合格基準は各科目の得点率40%以上で全科目の合計得点が全体の60%以上です。
合格率は良く判りません。
試験を早めに終えて帰宅したため、あまり試験の状況を見ていなかったからです。落ちた人はいるのか?いた場合再試験をしているのか?など
今受験したら状況を調査したい気持ちはありますが、当時は早く帰りたい一心だったので・・・
インターネット上では「落ちる人はいない」とか「合格率90%以上」とか書いてありますが、良く判りません。
多分正しいのは「一生懸命聞いていて落ちることはほとんどない」ではないでしょうか?
受講時間や費用
受講時間は以下の通りです。合計13時間です。
これは法律で定められてるため、遅刻早退欠席は即不合格になると思います。
時間に余裕を持った移動をおすすめします。
- 有機溶剤による健康障害及び予防処置に関する知識…4時間
- 衛生保護具に関する知識…2時間
- 作業環境の改善方法に関する知識…4時間
- 関係法令…2時間
受講中は先生が大事なところ、というか試験に出るところを強調してくれます。なのでそこはきっちりと記憶してください。私のおすすめアイテムは付箋です。強調したところに線を引いて付箋を貼ると、探す手間や漏れがなくなるのでお勧めです。
受講費用は12,000円位だと思います。インターネットで「有機溶剤作業主任者 ○○県」などと調べてください。
特に昼間は眠いと思いますが、職場の安全を守る大事な職務を担うのでキッチリと勉強してください。
難易度 ★☆☆☆☆ とても容易
勉強時間 13時間の講義