事務所が寒すぎる。法令で定められた気温は?

安全衛生について思うことを書く「安全衛生あれこれ」。最近のニュースをみて調べたことを書きます。

「寒すぎる」と客や従業員が悲鳴 スギ薬局が店舗に“暖房禁止令”を出していた

ニュースは各自調べてみてください。

私の会社も月曜日の始業後は少し寒く、手が思うように動かなくてパフォーマンスが落ちることがあります。快適な職場でなければいい仕事は出来ませんね。

このスギ薬局のニュースをみて、事務所は何度に保つ必要があるのかを調べてみました。

事務所衛生基準規則(事務所則)

(適用)

第1条 この省令は、事務所(建築基準法第2条第1号に掲げる建築物又はその一部で、事務作業(タイプライターその他の事務用機器を使用して行う作業を含む。)に従事する労働者が主として使用するものをいう。)について、適用する。

建築基準法

(用語の定義)

第1条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

 

事務所衛生基準規則にその気温が定められています。当然事務所について定めた規則なので、「事務所」と言われる範囲で定められたものです。

事務所衛生基準規則

(温度)

第4条 事業者は、室の気温が10℃以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。

 事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。ただし、電子計算機等を設置する室において、その作業者に保温のための衣類等を着用させた場合は、この限りでない。

 

第4条には事務所の室の気温が10℃以下の場合は、暖房する等適当な温度調整の措置を講ずる必要があることが記載されています。これに違反すると「事務所衛生基準規則に違反した場合は、6か月以下の懲役か、50万円以下の罰金となる可能性があります」と記載されています。

事務所衛生基準規則

(空気調和設備等による調整)

第5条 事業者は、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。

① 略

② 略

③ 略

 事業者は、前項の設備により室に流入する空気が、特定の労働者に直接、継続して及ばないようにし、かつ、室の気流を0.5m/s以下としなければならない。

 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が18℃以上28℃以下及び相対湿度40%以上70%以下になるように努めなければならない。

 

空気調和設備を設けている場合は18℃以上28℃未満になるように努めなければいけません。これは罰則の無い努力義務です。

以上より「事務所では10℃以上に保ってください。空調がある場合は18℃以上28℃未満に保つように努めましょう。」ということです。

 

 

(ここからは感想のようなものです。)

今回のスギ薬局は「事務作業」を行っている人はほとんどおらず「事務所」ではなく「店舗」に当たると思います。

「店舗」は事務所則外です(3,000m2以上の店舗だとビル管理法が適用されます)世の中には温めてはいけない店舗もありますし、そこで働く人は厚着や手袋をして働きますし、お客さんも心得たもので厚着をしてくると思います。

 

それでは今回のスギ薬局はなら違法ではないかというと完全にはそうは言えず、労働安全衛生法23条、労働契約法5条に抵触しているという人もいると思います。(これらは理念を示したような条文でどのようにも解釈できるので難しいです。寒かったから風邪を引いたとなれば健康の保持が出来なかったとも言えます。店舗が寒かったから風邪を引いたとと明確に関連づけることは難しいので抵触していないとも言えます)

労働安全衛生法

第23条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。

労働契約法

(労働者の安全への配慮)

第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

暖房を切っても防寒着・カイロ・手袋を支給してレジ打ちや品出しをさせていればニュースにならなかったかもしれません。働く人やお客さんが他のドラックストアに行ってしまって、いなくなるかもしれませんが・・・

(感想はここまでです。間違っていたら教えてください)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA