第1種衛生管理者 令和3年10月 労働衛生(問15~問18)

問15 厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」において示されている化学物質等による疾病に係るリスクを見積もる方法として、適切でないものは次のうちどれか。


(1)発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸として、あらかじめ発生可能性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用する方法


(2)取り扱う化学物質等の年間の取扱量及び作業時間を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等する方法


(3)発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していく方法


(4)ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)を用いる方法


(5)対象の化学物質等への労働者のばく露の程度及び当該化学物質等による有害性を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度及び有害性の程度に応じてリスクが割り付けられた表を使用する方法

解答

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(2)

【解説】

私はこの問題は難しいと思います。

化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針 ⇒ リーフレット(PDF)

リーフレットの最後のほうに「指針」が記載されているのですが、ここに9 リスクの見積もりという所に書いてあることを問うています。大きく分けると2つの方法に分かれます。その大きく分けた分類の中でも色々な方法があります。

 化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は化学物質等により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)及び当該危険又は健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法。

(ア) 発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ発生可能性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法(マトリクス法)


(イ) 発生可能性及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法(数値化法)

(ウ) 発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法(枝分かれ図を用いた方法)


(エ) ILO の化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)等を用いてリスクを見積もる方法(化学物質リスク簡易評価法)


(オ) 化学プラント等の化学反応のプロセス等による災害のシナリオを仮定して、その事象の発生可能性と重篤度を考慮する方法(災害のシナリオから見積もる方法)

 

 当該業務に従事する労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該化学物質等の有害性の程度を考慮する方法。具体的には、次に掲げる方法があるが、このうち、(ア)の方法を採ることが望ましいこと。

(ア) 対象の業務について作業環境測定等により測定した作業場所における化学物質等の気中濃度等を、当該化学物質等のばく露限界と比較する方法(測定による方法)


(イ) 数理モデルを用いて対象の業務に係る作業を行う労働者の周辺の化学物質等の気中濃度を推定し、当該化学物質のばく露限界と比較する方法(推定する方法)


(ウ) 対象の化学物質等への労働者のばく露の程度及び当該化学物質等による有害性を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度及び有害性の程度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法(あらかじめ尺度化した表を使用する方法)

 

これらを今回の問題に当てはめてみると・・・

(1)マトリックス法の記載である

(2)数値化法をアレンジしたもので正しくない

(3)枝分かれ図を用いた方法の記載である

(4)化学物質リスク簡易評価法の記載である

(5)あらかじめ尺度化した表を使用する方法の記載である

 

もし化学物質のリスクアセスメントに携わるのであれば、下記のテキストがわかり易いと思います。

 

問16 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)音圧レベルは、その音圧と、通常、人間が聴くことができる最も小さな音圧( 20 μ Pa)との比の常用対数を20倍して求められ、その単位はデシベル(dB)で表される。


(2)等価騒音レベルは、単位時間(1分間)における音圧レベルを10秒間ごとに平均化した幾何平均値で、変動する騒音レベルの平均値として表した値である。


(3)騒音レベルの測定は、通常、騒音計の周波数重み付け特性Aで行う。


(4)騒音性難聴の初期に認められる4,000Hz付近を中心とする聴力低下の型をc5dipという。


(5)騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与え、交感神経の活動の亢進や副腎皮質ホルモンの分泌の増加が認められることがある。

解答

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(2)

【解説】

第1種衛生管理者 衛生管理 まとめ② 有害要因による健康障害 参照

(1)定義そのものである

(2)等価騒音レベルとは「ある時間範囲について、変動する騒音レベルをエネルギー的な平均値として表したもの」である。

 

問17 電離放射線などに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。


(1)電離放射線には、電磁波と粒子線がある。


(2)エックス線は、通常、エックス線装置を用いて発生させる人工の電離放射線であるが、放射性物質から放出されるガンマ線と同様に電磁波である。


(3)エックス線は、紫外線より波長の長い電磁波である。


(4)電離放射線の被ばくによる白内障は、晩発障害に分類され、被ばく後、半年~30年後に現れることが多い。


(5)電離放射線を放出してほかの元素に変わる元素を放射性同位元素(ラジオアイソトープ)という。

解答

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(3)

【解説】

第1種衛生管理者 衛生管理 まとめ② 有害物質による疾病 参照

(3)誤り  エックス線は、紫外線より波長の短い電磁波である。

 

問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


(1)管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標として設定されたものである。


(2)原材料を反応槽へ投入する場合など、間欠的に有害物質の発散を伴う作業による気中有害物質の最高濃度は、A測定の結果により評価される。


(3)単位作業場所における気中有害物質濃度の平均的な分布は、B測定の結果により評価される。


(4)A測定の第二評価値及びB測定の測定値がいずれも管理濃度に満たない単位作業場所は、第一管理区分になる。


(5)B測定の測定値が管理濃度を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第三管理区分に区分される。

解答

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(1)

【解説】

第1種衛生管理者 衛生管理 まとめ① 作業環境測定基準について 参照

第1種衛生管理者 衛生管理 まとめ① 作業環境評価基準について 参照

(1)正しい

(2)A測定⇒B測定なら正解

(3)B測定⇒A測定なら正解

(4)B測定が管理濃度に達していなくて、且つA測定の第1評価値が管理値未満の場合は第1管理区分になる。

   設問は第2評価値と書いてるので、必ずしも第1管理区分とは言えない。

(5)「B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第三管理区分に区分される。」なら正しい。

 

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