第1種衛生管理者 労働衛生 まとめ①

労働衛生の3管理

①作業環境管理・・・・設備による改善、製造工程そのものの変更、作業環境測定

②作業管理・・・作業方法の変更、表示、保護具の着用 (人に着目した管理)

③健康管理・・・健康診断、その結果による措置

大雑把に分けると上記のようになる。大事な順番から並べると①⇒②⇒③となる。

元々安全な材料を使っていれば問題になることはないし、使っていても体内に取り込まなけば問題にならない。健康管理は問題が起きていないかチェックする最後の砦であるからである。

作業管理の中でもリスク低減措置の順位としては保護具の着用は優先順位が低い。これは保護具をしなくていいという訳ではなく、最初に保護具の着用ありきではなく、作業方法の変更などで十分に検討した後に保護具も付けましょうという考えに基づいている。

これらに統括管理と労働衛生教育を加えた5管理という場合もある。

化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針

危険性又は有害性等の調査というのはリスクアセスメントのことです。

リーフレット(PDF)

リスク低減措置の検討及び実施
法令に定められた事項がある場合にはそれを必ず実施するとともに、ア→オの優先順位でリスク低減措置内容を検討の上実施する。

作業環境管理

  危険性若しくは有害性が高い化学物質等の使用の中止又は危険性若しくは有害性のより低い物への代替
イ  化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形状の変更等による、負傷が生ずる可能性の度合又はばく露の程度の低減
 化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等の工学的対策又は化学物質等に係る機械設備等の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策

管理的対策

 マニュアルの整備等の管理的対策
  個人用保護具の使用

 

●リスクの見積もり

大きく分けると2つの方法に分かれます。その大きく分けた分類の中でも色々な方法があります。

 化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は化学物質等により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)及び当該危険又は健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法。

(ア) 発生可能性及び重篤度を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめ発生可能性及び重篤度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法(マトリクス法)


(イ) 発生可能性及び重篤度を一定の尺度によりそれぞれ数値化し、それらを加算又は乗算等してリスクを見積もる方法(数値化法)

(ウ) 発生可能性及び重篤度を段階的に分岐していくことによりリスクを見積もる方法(枝分かれ図を用いた方法)


(エ) ILO の化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)等を用いてリスクを見積もる方法(化学物質リスク簡易評価法)


(オ) 化学プラント等の化学反応のプロセス等による災害のシナリオを仮定して、その事象の発生可能性と重篤度を考慮する方法(災害のシナリオから見積もる方法)

 

 当該業務に従事する労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該化学物質等の有害性の程度を考慮する方法。具体的には、次に掲げる方法があるが、このうち、(ア)の方法を採ることが望ましいこと。

(ア) 対象の業務について作業環境測定等により測定した作業場所における化学物質等の気中濃度等を、当該化学物質等のばく露限界と比較する方法(測定による方法)


(イ) 数理モデルを用いて対象の業務に係る作業を行う労働者の周辺の化学物質等の気中濃度を推定し、当該化学物質のばく露限界と比較する方法(推定する方法)


(ウ) 対象の化学物質等への労働者のばく露の程度及び当該化学物質等による有害性を相対的に尺度化し、それらを縦軸と横軸とし、あらかじめばく露の程度及び有害性の程度に応じてリスクが割り付けられた表を使用してリスクを見積もる方法(あらかじめ尺度化した表を使用する方法)

 

化学物質の物性

過去に出題された物質の物性を記載しておく。

塩化ビニル 沸点 -13℃

ホルムアルデヒド 沸点 ‐19℃

二硫化炭素 沸点 46℃

二酸化硫黄 沸点 -10℃

アンモニア 沸点 -33℃ 

作業環境測定基準について

言葉の定義

作業環境測定基準2条

単位作業場所  当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域

鉱物性粉じん

作業環境測定基準2条

測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50㎝以上150㎝以下の位置 (設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

鉱物性粉じんに係る単位作業場所が著しく狭く、かつ、鉱物性粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、単位作業場における測定点の数を5未満とすることできる。

鉱物性紛じんの発散源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、当該作業が行われる時間のうち、紛じんの濃度が最も高くなると思わる時間に、当該作業が行われる位置においても測定を行わなければならない。

鉱物性紛じんの濃度の測定を相対濃度指示方法によって行う場合には、当該単位作業場所における1か所以上の測定点において、分粒装置を用いるろ過捕集方法及び重量分析方法による測定を同時に行わなければならない。

一の測定点における試料空気の採取時間は、10分間以上の継続した時間とすること。ただし、相対濃度指示方法による測定については、この限りでない

作業が定常的に行われている時間に行うこと。

騒音

作業環境測定基準4条

等価騒音レベルの測定は、次に定めるところによらなければならない。

① 測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上120㎝以上150㎝以下の位置(設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

ただし、単位作業場所における騒音レベルがほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に六メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。

石綿

作業環境測定基準10条の2

測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50㎝以上150㎝以下の位置 (設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

作業が定常的に行われている時間に行うこと。

特定化学物質

作業環境測定基準10条

測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50㎝以上150㎝以下の位置 (設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

作業が定常的に行われている時間に行うこと。

作業環境測定基準11条

測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50㎝以上150㎝以下の位置 (設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

作業が定常的に行われている時間に行うこと。

酸素欠乏危険作業

作業環境測定基準12条

当該作業場における空気中の酸素及び硫化水素の濃度の分布の状況を知るために適当な位置に、5以上とすること。

有機溶剤

作業環境測定基準13条

測定点は、単位作業場所の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50㎝以上150㎝以下の位置 (設備等があつて測定が著しく困難な場所を除く。)とすること。

作業環境測定基準で定める一定の有機溶剤(トルエン等)の濃度を測定する場合、当該有機溶剤以外の物が測定値に影響を及ぼすおそれがないときは、検知管方式の測定機器により測定することができる。

作業が定常的に行われている時間に行うこと。

 

作業環境評価基準について

評価値の計算

第1評価値・・・単位作業場における濃度の実現値のうち、高濃度側から5%に相当する濃度の推定値

第2評価値・・・単位作業場のA測定における気中有害物質の算術平均濃度の推定値

 

2日測定の場合

第1評価値および第2評価値は次の式により計算する。

これらの式において EA1、EA2、M1、M2、σ1、σは、それぞれ次の値を表すものとする。

EA1 : 第1評価値

EA2 : 第2評価値

M1  : 1日目のA測定の測定値の幾何平均値

M2  : 2日目のA測定の測定値の幾何平均値

σ1  : 1日目のA測定の測定値の幾何標準偏差

σ2  : 2日目のA測定の測定値の幾何標準偏差

 

1日測定の場合

第1評価値および第2評価値は次の式により計算する。

これらの式において EA1、EA2、M1、σ1は、それぞれ次の値を表すものとする。

EA1 : 第1評価値

EA2 : 第2評価値

M1  : 1日目のA測定の測定値の幾何平均値

σ1  : 1日目のA測定の測定値の幾何標準偏差

※作業環境測定基準では、2日連続作業日における測定を義務付けることはしていない。しかしながら、1日測定の場合でも日間変動を考慮する必要があるため、経験的にσDの分布から上側90%の推定値としてσD=1.95が採用されている。(log1.95)2=0.084であるため、0.084という数字が式に出てくる。

日間変動を上側90%の推定値と厳しくしているので、ほとんどの場合は1日測定のほうが評価値が高くなる。

管理濃度

土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの管理濃度は次の式で表される。

E = 3.0 /(1.19Q + 1) E:管理濃度(mg/m3)  Q:当該粉じんの遊離けい酸含有率(%)

 

管理区分の決定

A測定及びB測定を実施した場合

【A測定】

作業場の気中有害物質濃度の空間的及び時間的な変動の平均的な状態を把握するための測定。

【B測定】

発生源の近くで作業が行われる場合、A測定を補完するために、作業者の暴露が最大と考えられる場所における濃度測定

混合有機溶剤の評価

作業環境評価基準2条

有機溶剤を2種類以上含有する混合物に係る単位作業場所にあっては、測定点ごとに、次の式により計算して得た換算値を当該測定点における測定値とみなして評価を行う。

この場合において、管理濃度に相当する値は1とするものとする。

例:メタノールとアセトンの場合

測定値 = (その測定点のメタノールの測定値)/メタノールの管理濃度  +  (その測定点のアセトンの測定値)/アセトンの管理濃度

この評価方法は有機溶剤特有の評価方法であり、特化物等には適用されない。

測定値のルール

作業環境評価基準2条

測定値が管理濃度の10分の1に満たない測定点がある単位作業場所にあっては、管理濃度の10分の1を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の区分を行うことができる。

測定値が定量下限に満たない測定点がある単位作業場所にあっては、定量下限を当該測定点における測定値とみなして、管理区分の区分を行うことができる。

管理濃度や許容濃度等について

●管理濃度

作業環境管理を進める上で、有害物質に関する作業環境の状態を評価するために、作業環境測定基準に従って実施した作業環境測定の結果から作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標。

●許容濃度

有害物質のある環境下で労働者が1 日8 時間、1 週間40 時間程度の作業を継続したとしても、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度。

許容濃度は変動の幅が大きくない場合に利用されるべきものである。どの程度の幅の変動が許容されるかは物質によって異なる。特に注記の無い限り、暴露濃度が最大になると予想される時間を含む15分間の平均暴露濃度が許容濃度の1.5倍を超えないことが望ましい。経皮吸収がないことを前提として勧告されている。

許容濃度等を決定する場合に考慮された生体影響の種類は物質等によって異なり,ある種のものでは,明瞭な健康障害に,また他のものでは,不快,刺激,中枢神経抑制などの生体影響に根拠が求められている。従って許容濃度等の数値は,単純に毒性の強さの相対的比較の尺度として用いてはならない.

●最大許容濃度

作業中のどの時間でもばく露濃度がこの数値以下であれば、健 康上の悪影響を及ぼさないと判断される濃度 (天井値) と定義。

●粉じんの管理濃度

E = 3.0/(1.19Q+1)

E:管理濃度(mg/m

Q:当該粉じんの遊離けい酸含有率(%)

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