作業環境測定士 放射性物質 まとめ①
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用語・定義
【過去に出題された問題】(正解に変換済み)
・作業環境測定における1 cm 線量当量は、均一で単一方向からの平行ビームでICRU 球全体を照射したとき、照射軸上の深さ1 cm における線量当量である。
・実効線量は、人体の臓器・組織ごとの吸収線量に放射線加重係数を乗じて得られる等価線量に、対応する組織加重係数を乗じた値の総和である。
・X線による皮膚の等価線量の算定には、70μm 線量当量を用いる。
・70 μm 線量当量は、皮膚の線量当量とも呼ばれ、その組織が実際に受けた生物学的影響に換算した値であることから単位はSvを用いる。
・眼の水晶体の等価線量の算定は、放射線の種類およびエネルギーの種類に応じて、1cm線量当量、3mm線量当量または70μm線量当量のうちいずれか適切なものによって行う。
・カーマは、γ線やX線などの間接電離放射線によって、単位質量中に生成された2次荷電粒子の運動エネルギーの総和である
・男性の放射線業務従事者の実効線量限度は、5年間につき100 mSv、かつ、1年間につき50 mSv である。
・組織・臓器ごとの放射線影響を表す「等価線量」及び全身への放射線影響を表す「実効線量」の単位は、どちらもSv である。
・誘導空気中濃度(DAC)とは、年摂取限度を標準的な放射線業務従事者の年間作業時呼吸量で割った値である。
・誘導空気中濃度(DAC)は、対象とする放射性物質を年間を通して一定濃度で吸入し続けたときに、年摂取限度(ALI)を超えないように誘導され
た空気中濃度を指す。
・預託実効線量は、内部被ばくの影響を評価する基準として、摂取後50年間に受ける線量を最初の1年間で受けたものと見なして、その年の外部被ばくの実効線量と合計して管理される。
単位
【過去に出題された問題】(正解に変換済み)
・放射性物質の表面密度は、単位面積当たりの放射能で、単位はBq・cm-2である。
・照射線量は、放射線の照射により空気の単位質量当たりに生成された荷電粒子が停止するまでに生成する正又は負の全電荷で、単位はC・kg-1である。
・周辺線量当量率は、人体の組織を模した30㎝のICRU球を置き、球の表面から深さ1 cmで生じる 線量当量で、単位はSv・h-1である。
・空気中放射能濃度を表す単位は、Bq・cm-3である。
・作業環境測定に用いる1 cm 線量当量率を表す単位は、Sv・h-1である。
・吸収線量は、放射線の照射により物質の単位質量当たりに吸収されたエネルギーで、単位はGyである。
・放射能は、物質中の原子核が単位時間当たりに壊変する数で、単位はBq である。
・放射線のエネルギーは、1個の電子が1ボルトの電位差を通過するときに得るエネルギーのことで、単位はeVである。
・計数率とは、放射線検出器が一定時間内に検出した放射線の数を、時間で割った値であり、単位はs-1である。
電離放射線の種類
※環境省の資料より ⇒ URL

α壊変 ⇒ α崩壊は、原子核内部から陽子2個と中性子2個からなるα粒子が飛び出してくる現象で、崩壊後の原子核は、原子番号が2つ減少する。
β–崩壊 ⇒ 原子核内部から電子とニュートリノが放出される現象で、崩壊後の原子核は電子放出の場合は原子番号が1つ増える。
β+崩壊 ⇒ 原子核内部から陽電子とニュートリノが放出される現象で、崩壊後の原子核は陽電子放出の場合は原子番号が1つ減少する
γ線 ⇒ α崩壊やβ崩壊に伴い、励起状態に置かれた原子核が、より安定した状態に移行する際に放出される電磁波であり、γ線放出時に原子番号は変化しない。
軌道電子捕獲 ⇒ 原子核に過剰にある陽子が軌道上の電子を取り込む。その際余分なエネルギーが特性X線として放出される
核異性体転移 ⇒ 比較的寿命が長い励起状態の核がそのエネルギーをγ線として放出する。
自発核分裂 ⇒ 複数の原子核に分裂して、中性子が放出される。
放射線の透過力

原子核から出る放射線のうちα線とβ線は、それ自身が電離作用を持ち、比較的短い飛程でエネルギーが失われる。
高エネルギーのβ線は、物質から制動放射線を発生させる。
γ線と中性子線は、電荷を持たないので物質中での透過力がある。
γ線は、相互作用で物質から電子を放出させ、それが主に電離作用を行う。」
半減期
半減期とは、放射性核種の原子数が、放射線を放出して元の数の半分に減少するまでに要する時間である。
222Rn 3.32日
131 I 8.02日
134Cs 2.06年
22Na 2.60年
60Co 5.27年
3H 12.32年
90Sr 28.79年
137Cs 30.17年
241Am 432.2年
226Ra 1.60×103年
14C 5.70×103年
36Cl 3.01×105年
40K 1.25×109年
物性・特性
【過去に出題された問題】(正解に変換済み)
・137Cs は、γ線だけでなく、β線も放出する。
・137Cs によるγ線の散乱線は、直接線よりエネルギーが低い。
・α線などの高速の荷電粒子が物質を電離する際には、二次電子を発生させる。
・90Sr の壊変核種である90Y からのβ線の空気中における最大飛程は、5 m を超える。
・ベリリウムにα線が当たると、中性子が計測される場合がある。
・高エネルギーβ線を遮へいする場合、制動X線の発生にも留意する必要がある。
・5 MeV 程度のα粒子は人体組織中で約40 μm の飛程を持つが、この距離で全エネルギーを失うことから比電離は大きい。
・γ線のエネルギーは、X線のエネルギーよりも大きいことが多いが、必ずしもγ線のほうが大きいわけではない。
・137Cs はβ崩壊により137Ba の励起状態に変わり、662 keV のγ線を放出する。
・熱中性子線に対しては、鉛よりも水の方が質量当たりの遮へい効果が大きい。
・電子が物質中で散乱され、入射方向とは逆方向に出てくる現象を後方散乱という。
・ 空気のW値(1イオン対を生成するのに費やされるエネルギー)は、約34 eVである。
各種検出器
NaI(Tl)シンチレーション検出器とGe(ゲルマニウム)半導体検出器のメリット・デメリットを比較した表(ChatGPT)
項目 | NaI(Tl) シンチレーション検出器 | Ge(HPGe)半導体検出器 |
---|---|---|
エネルギー分解能 | 数%(例:662 keVで約7%) | 非常に高精度(例:662 keVで約0.2%) |
計数効率(検出効率) | 高効率:Geの数倍程度 | 効率は低め |
動作温度 | 室温で動作可能 | 液体窒素冷却(77 K)必須 |
価格・コスト | 比較的安価 | 高価(冷却・精密構造) |
耐久性・取り扱い | 丈夫で扱いやすい | 湿気・温度変化に弱く、破損のリスクあり |
測定可能な線種 | γ線全般に対応(高効率) | γ線、X線の高精度スペクトル解析に最適 |
応答速度 | 速い(ns〜μs) | 非常に速い(nsオーダー) |
サイズの自由度 | 大型検出器が作りやすい(高効率化可能) | 小型高性能タイプが多く、大型化はやや困難 |
装置外観の特徴 | 円筒形の結晶+光電子増倍管、アルミ筐体、鉛遮蔽が多い | 冷却用デュワー付きの円筒・箱形構造、遮蔽装置とセットが多い |
代表的な用途 | 放射線測定器、放射線管理、医療用モニタリング | 放射性核種の定量分析、核物理実験、X線・γ線スペクトル測定 |
※γ線のスペクトル分析ではエネルギー校正が不可欠である。
※エネルギーごとの計数効率を求めるためには効率校正が必要で、その際はできるだけ測定対象物の形状や組成に近い計数校正用標準線源を用いる。
崩壊図式


測定結果の取り扱い


バックグラウンド測定時間の計算
