作業環境測定士 令和4年8月 鉱物性粉じん

問1次の記述の内に入るⒶ及びⒷの語句の組合せのうち、正しいものはどれか。
「粒径2 ~ 5 μm の球形粒子が媒質中を落下する際の終末速度は、Ⓐ に比例し、Ⓑ に反比例する。」

 

解答

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(3)

【解説】

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① ストークスの式 参照

ストークスの式からの出題

ストークスの式は沈殿現象における、沈降速度を求めるための方程式である。

 

v:終末速度、g:重力加速度、ρs:粒子の密度、ρ:媒質の密度、d:粒子の直径、μ:粘性係数

沈降速度は「粒子の大きさ(直径)の二乗に比例する」「媒質の粘性係数に反比例する」ことがわかる。

 


問2空気中の粒子の挙動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  温度の偏りがある空間では、高温側及び低温側の空気分子の運動量の違いにより、粒子は高温側に向かう力を受ける。


2  流体とともに運動している粒子のブラウン運動による拡散効果は、粒径5 μm 以上では無視できる。


3  凝集によって粒子数濃度が1/10になる時間は、粒子数濃度が高いほど短い。


4  多段平行板式分粒装置の50 % 分粒粒径は、流量の平方根に比例する。


5  慣性衝突式分粒装置を通過して、フィルター上に捕集される粒子の平均粒径は、ノズルを通過する気流の速度が速いほど小さい。

解答

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(1)

【解説】

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① 粒子の挙動 参照

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① スモルコフスキーの式 参照

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① 多段平行板式分粒装置と慣性衝突式分粒装置について 参照

(1)高温側は比較的激しく分子運動を行っている。対して低温側はゆるやかな分子運動を行っている。その場合高温側から低温側に粒子が向かう。

例えば「とても汚い水」と「ちょっと汚い水」を混ぜると、とても汚い水➡ちょっと汚い水側に粒子が移動することをイメージしてもらうと判りやすい。これが逆になることはあり得ない。水の色をエネルギーの色と置き換えれば低温側に向かうことがイメージできる。

(2)粒子径が 1 µm 以下の微粒子は,気中・液中にかかわらず,熱運動している媒質分子の運動により,ランダムなブラウン運動をし,周囲の濃度勾配を推進力としてブラウン拡散する。5μm以上では無視できるという文献は無かったが、多分無視できるのでしょう。

(3)スモルコフスキーの式は拡散凝集現象における、個数濃度の減少を求めるための方程式である。

C0:初めの濃度、C:時間t秒後の濃度、K0:凝集定数、t:時間

K0t = 1/(C0/10) – 1/C0  = 10/C0 – 1/C0= 9/C0 

個体濃度の減少は「初めの濃度が大きいほど減少する」ことがわかる。

 

 

問3密度2.8 g・cm-3、粒径12.0 μm の球形粒子の水中における自由落下の終末速度を測定して7.4 × 10-3 cm・s-1 を得た。                 同じ条件のもとで、別に密度4.6 g・cm-3、粒径9.0 μm の球形粒子について同様の測定をしたときの終末速度の値に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、粒子の終末速度はストークスの式に従い、また、水の密度は1.0 g・cm-3とする。

 

解答

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(3)

【解説】

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① 終末速度の求め方 参照

 


問4慣性衝突式分粒装置(インパクター)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  円形ノズル式インパクターの慣性パラメータ(効率50 % の場合)は0.192 である。


2  吸入性粉じん濃度測定用インパクターは、相対沈降径4.0 μm の粒子を50 % 除去するよう設計・製作されている。


3  円形ノズル式インパクターで所定の流量より大きな流量で吸引すると測定値は小さくなる。


4  通気の際の流速が速くなるほど、分粒装置を通過する粒子の50 % 分粒粒径は小さい方へ移行する。


5  円形ノズル式インパクターの50 % 分粒粒径は、ノズルを通過する粒子の密度の平方根に比例する。

解答

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(5)

【解説】

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① 慣性衝突式分粒装置(インパクター)について 参照

作業環境測定士 鉱物性粉じん まとめ① 多段平行板式分粒装置と慣性衝突式分粒装置について 参照

 

問5粉じんのろ過捕集に用いるろ過材に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  多孔状メンブランフィルターでは、粒子のほとんどはフィルター表面で捕集されるが、繊維状フィルターでは、フィルターの表面だけでなく内部でも捕集される。


2  ろ過材を通して空気を吸引した場合におけるろ過材の圧力損失は、流量にほぼ反比例する。


3  粒径0.3 μm の粒子を95 % 以上捕集する性能を有するものであれば、吸湿量の小さなフィルターの方がよい。


4  フッ素樹脂加工グラスファイバーフィルターは、加湿空気を通してもほとんど吸湿しない。


5  初期圧力損失が低く、粉じんの堆積による圧力損失の増加が少ないものがよい。

解答

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(2)

【解説】

 

問6繊維状フィルターによる捕集原理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  捕集効率は、粒径0.1 ~ 0.3 μm の付近で最も高くなる。


2  さえぎり効果による捕集効率は、繊維径が小さいほど高くなる。


3  拡散効果による捕集効率は、ろ過速度が小さいほど高くなる。


4  重力効果による捕集効率は、粒径が大きいほど高くなる。


5  慣性効果による捕集効率は、ろ過速度が大きいほど高くなる。

解答

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(1)

【解説】

 

問7粉じんのろ過捕集で用いられる流量計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  面積式流量計は、浮子とテーパー管との間隙の面積と、そこを流れる試料空気の体積流量が反比例することを利用した流量計である。


2  ローボリウムエアサンプラーに用いる流量計の校正に用いられる湿式ガスメーターは、通常、押し込み方式で使用する。


3  絞り式流量計には、管路中にオリフィス板やベンチュリー管が設けられているものがある。


4  絞り式流量計は、管内の絞り部分の上流側と下流側の圧力差が流量と一定の関係を示すことを利用している。


5  20 L・min-1 の流量で空気( 25 ℃ )を吸引する場合において、捕集装置の圧力損失が25 kPa のとき、組み込まれた面積式流量計の指示値は約23 L・min-1となる。

解答

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(1)

【解説】


問8光散乱方式の相対濃度計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  相対濃度計の計数値は、空気吸引流量に影響されない。


2  相対濃度計の計数値は、相対湿度の影響をほとんど受けない。


3  粒子の粒径が一定であれば、粉じんの種類が異なっても相対濃度の値は同じとなる。


4  粒子による散乱光の強度は、粒子の屈折率によって異なる。


5  同じ組成、同じ質量濃度の粉じんの場合、粒径1 μm の粒子の方が10 μmの粒子より計数値が大きい。

解答

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(3)

【解説】

 

問9作業環境測定に用いる圧電天秤方式の粉じん計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  圧電結晶板に粉じんが付着し、質量が増加すると増加分に応じて周波数が減少する性質を利用している。


2  センサー上に粉じんを捕集するため、直前にコロナ放電により粒子に荷電している。


3  1回のサンプリング時間は24 秒あるいは120 秒であるが、粉じん濃度の高低に応じ、サンプリング時間を切り換えて使用する。


4  表示された値は直接当該粉じんの質量濃度を示すものではなく、質量濃度は、質量濃度変換係数(単位mg・m-3)を乗じて求めなければならない。


5  センサー上に規定量以上の粉じんが捕集された場合、センサーを洗浄する必要がある。

解答

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(4)

【解説】

 

問10光散乱方式の相対濃度計を用いて鉱物性粉じんの濃度測定を行った場合の併行測定及び質量濃度変換係数に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  同じ粉じんであれば、粒径が0.5 μm 程度より大きいと、粒径が大きくなるほど質量濃度変換係数は大きくなる。


2  粒度分布が同じであっても、石英粉じんよりも酸化鉄粉じんの方が質量濃度変換係数は大きくなる。


3  多段平行板式分粒装置で捕集したフィルターの採じん面に縞模様が見られるような作業場の質量濃度変換係数は大きい傾向がある。


4  併行測定点は、A測定を実施した測定点のうちのいずれかの一点から、粉じんの発生状況や気流の影響等を考慮して選定される。


5  研磨作業場での質量濃度変換係数は、発生源の近くでは大きく、発生源から離れると小さくなる傾向がある。

解答

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(4)

【解説】

 

問11電子天秤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  電子天秤は、比較的操作が簡便で、読み取りも容易であるとともに、温度変化による感度の変化も直示天秤に比べ小さい。


2  試料の温度が天秤の秤量室内の温度よりも高いと秤量値は、真の値よりも小さくなる。


3  零位(電磁力平衡)方式の電子天秤は、荷重の変化による可動部の微小変位を差動トランス、光電素子等により検出する。


4  力測定方式の電子天秤は、荷重を加えることによって生じる力の変化を弾性体のひずみとして測定する。


5  一般に使用されている読取限界が1 mg 以下の電子天秤の多くは、力計(ロードセル)を利用した力測定方式である。
 

解答

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(1)

【解説】


問12遊離けい酸の分析試料の調製に用いる液相沈降法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  単位作業場所で採取した堆積粉じんのうち目開き75 μm のふるいを通過した粉じんを粒度調整のための試料とする。


2  粒度調整のための試料粉じんの懸濁液中の濃度は約1 %(質量比)がよい。


3  粒度調整する際には試料粉じんの密度を2.65 g・cm-3として沈降時間を求める。


4  粉じんが液相の一定距離を沈降する時間は、粒子の直径に反比例する。


5  一度の操作で分析に必要な試料が得られないときには、いったん粒度調整を行った後の残りの懸濁液を粒度調整用試料とすることができる。

解答

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(4)

【解説】

 

問13粉じん中の遊離けい酸の分析に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  遊離けい酸分析用試料としては、浮遊粉じん又は粒度調整した堆積粉じんが用いられる。


2  定性分析で石英の存在のみが認められた試料は、りん酸法を用いてもよい。


3  定性分析でトリジマイト、クリストバライトなどの存在が認められた試料は、X線回折分析法を用いなければならない。


4  定性分析で遊離けい酸のピークが確認できなかった鉱物性粉じんの試料は、更に感度を上げて行い、ピークの存在が認められない場合の管理濃度は3.0 mg・m-3とする。


5  同じ試料を用いて、X線回折分析法により求めた遊離けい酸含有率は、りん酸法で求めた含有率より、高い値を示す傾向にある。

解答

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(5)

【解説】

 

問14王水添加りん酸法による遊離けい酸の分析に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  クリストバライトが含まれる試料をりん酸法で測定すると、遊離けい酸含有率は、真の遊離けい酸含有率より低く評価される。


2  最適加熱条件を設定するための標準試料は、液相沈降法により10 μm以下に粒度調整したものを用いる。


3  微斜長石及び石英の両方の最適加熱条件を満足する加熱時間が複数存在する場合は、その中で最も短い時間で試料の処理を行う。


4  加熱終了後、室温まで冷却し、温湯(60 ~ 70 ℃ )を加えてよく振とうし、試料中のシロップ状物質を溶解させる。


5  最適加熱条件は、微斜長石のりん酸残渣率が5 %以下で、かつ、石英のりん酸残渣率が95 % 以上になるように決める。

解答

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(5)

【解説】

 

問15X線回折分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  ゴニオメータの走査速度が速すぎると、回折線のピーク位置のずれや回折線強度の低下を生じる。


2  対陰極物質がCr、Fe、Cu のそれぞれのKαX線の波長は、短い方からCu、Fe、Cr の順である。


3  X線の単色化のために用いられるKβX線除去フィルターとしては、対陰極物質より、原子番号が1小さな物質が用いられる。


4  対陰極物質がCu のX線回折分析法で測定されるトリジマイト(単斜晶系)の主回折線の回折角度( 2 θ)は、20.5°である。


5  炭酸カルシウムは、石英の定量の妨害となる回折線をもつ。

解答

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(5)

【解説】

 

問16鉱物性粉じんの定性分析を、対陰極物質としてCu を用いたX線回折分析法で行ったところ石英の存在が認められた。石英の回折角度( 2 θ)ではないものは次のうちどれか。

1  20.87°


2  22.00°


3  26.66°


4  36.57°


5  50.18°

解答

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(2)

【解説】

 

問17X線回折基底標準吸収補正法により、以下のような手順で粉じん中石英の定量操作を行ったところ、粉じん中の石英含有率として15.0 % が得られた。
有効直径20 mm のフィルターに、再発じん法により1.26 mg の粉じんを捕集した。このフィルターの石英の主回折強度は325 cps であった。石英の回折強度は石英が1 mg・cm-2のとき6500 cps に相当する。このフィルターの定量操作に用いたX線吸収補正係数として、最も近い値はどれか。

1  1.00


2  1.10


3  1.20


4  1.30


5  1.40

解答

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(3)

【解説】

 

問18X線回折基底標準吸収補正法によって、粉じん中の石英を定量するための方法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  金属基底標準板は石英の主回折線より高角度側に回折線のある亜鉛又はアルミニウムが用いられる。


2  X線吸収補正係数は、計測された金属の回折線の強度と石英の回折線の強度との比から求める。


3  吸収補正法は直接法に比べて定量範囲が広くなり、共存する他の物質の吸収の影響を少なくすることができる。


4  検量線は、横軸に石英量をとり、縦軸にX線吸収補正係数で補正した石英の回折強度をとって作成する。


5  粉じんを採取する前のフィルターを載せた金属板の回折強度と粉じん採取後のフィルターを載せた金属板及び石英の回折強度を計測する。

解答

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(2)

【解説】

 

問19次の条件で、石綿粉じんを直径25 mm のセルローズエステルメンブランフィルター(採じん面の直径22 mm )上に捕集して位相差顕微鏡を用いて計数を行った。この試料において、50 視野を計数して認められた総繊維数が30 f であった。このときの繊維数濃度に最も近いものは下のうちどれか。
ただし、ブランクの値を0 f とする。

捕集流量:1 L・min-1
捕集時間:20分間
計測視野:直径300 μm の円形

1  0.08 f・cm-3


2  0.16 f・cm-3


3  0.32 f・cm-3


4  0.80 f・cm-3


5  1.61 f・cm-3

解答

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(2)

【解説】

 

問20リフラクトリーセラミックファイバーに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1  リフラクトリーセラミックファイバーは、アルミナ(AlO)とシリカ(SiO)を主成分とする非晶質の人造鉱物繊維である。


2  リフラクトリーセラミックファイバーは、1000 ℃ 以上の高温域で耐火材や断熱材として炉のライニング材、高温用ガスケット・シール材等に使用されている。


3  リフラクトリーセラミックファイバーの管理濃度は、5 μm 以上の繊維として0.3 f・cm-3である。


4  リフラクトリーセラミックファイバーの捕集・分析方法の手順は、石綿の捕集・分析方法と同じである。


5  位相差顕微鏡を用いる計数分析法では、石綿の場合と異なり、リフラクトリーセラミックファイバーを他の繊維と区別して計数することができる。

解答

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(5)

【解説】

 

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