作業環境測定士 令和5年8月 特定化学物質
問1吸光光度分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 吸光度は、入射光の強度に依存しない。
2 吸光度0.3 では、入射光の30 % が試料液に吸収される。
3 発色のために加熱した場合は、常温に戻してから測定する。
4 石英セルはガラスセルに比べて、紫外光の吸収が少ない。
5 通常、分析には、吸収スペクトルの極大波長を用いる。
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ① ランベルト・ベールの法則 参照
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ① 吸光光度分析計 参照
(2)この問題は対数を覚えておく必要がある。とりあえずこの3つは覚えておきたい
log102=0.30 log103=0.47 log105=0.70
吸光度A = log10(I0/I) より 0.3 = log10(I0/I) なので I0/I = 2
I0/I = 10/5 と書き換えることが出来て I/I0 = 5/10 となり 透過率は0.5である。
似た問題
問2作業環境空気(25 ℃、1気圧)中のフッ化水素の濃度を測定するため、捕集液10 mL に1.00 L・min-1の流量で試料空気を10分間吸引した。その全量10 mLについて定量操作を行い、その吸光度をブランクを対照として測定したところ0.350 であった。フッ化水素の濃度が、1.15 × 10-8mol・mL-1の標準溶液10 mLについても同様の操作を行って測定した吸光度は0.450 であった。
フッ化水素の作業環境空気中濃度(体積分率)として、正しい値に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、捕集率は100%とする。
1 0.022 ppm
2 0.032 ppm
3 0.22 ppm
4 0.32 ppm
5 2.2 ppm
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ① 気体の濃度計算 参照
問3液体捕集法と吸光光度分析法を用いたp-ニトロクロロベンゼンの測定に関する次の記述の㋑から㋩までに入る語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「捕集液にエタノール水溶液を使用してp-ニトロクロロベンゼンを捕集して、亜鉛末と㋑を用いてニトロ基を還元する。亜硝酸ナトリウムを加え、更にスルファミン酸アンモニウムを加えて㋺基を㋩化した後、発色させて吸光度を測定する。」
解答
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(3)
【解説】
ニトロ基は還元されるとアミノ基になる。
問4硫化水素を液体捕集し、得られた試料液に塩化鉄(Ⅲ)とp – アミノジメチルアニリンを加えて、生成する物質の吸光度を測定して定量した。この分析に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 捕集液には硫酸亜鉛水溶液を用いる。
2 塩化鉄(Ⅲ)は触媒として働く。
3 生成する物質はメチレンブルーである。
4 標準原液は硫化ナトリウムから調製する。
5 標準原液の調製には、煮沸して放冷した精製水を用いる。
解答
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(2)
【解説】
塩化鉄(Ⅲ)は酸化剤として働く
問5ガスクロマトグラフ分析法における分離機構及び分離能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 固定相が液体の場合、試料中の各成分はカラム内で固定相液体と気相間の分配平衡の差によって分離される。
2 固定相液体には、極性が異なる物質を使用することができるので、多種類の物質の分析が可能である。
3 保持時間とは、カラムに試料を導入後、分析対象成分のピークが出終わるまでの時間をいう。
4 理論段数は、カラムの長さ、内径、温度、移動相流速などによって変化する。
5 ピークの重なりの程度を表す分離度が、1.5 のとき二つのピークはほぼ完全に分離される。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ② ガスクロマトグラム 理論段数~分離度 参照
(3)保持時間(tR)は、各成分におけるピークトップの時間を示す
問6作業環境空気中のアクリルアミドのガスクロマトグラフ分析法に関する次の記述の㋑から㋩までに入る語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「アクリルアミドの粒子及び㋑を、ガラス繊維ろ紙と㋺を装着したサンプラーにより吸引捕集し、ガラス繊維ろ紙及び㋺上のアクリルアミドを㋩で抽出した後、ガスクロマトグラフ法で分析する。」
解答
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(1)
【解説】
ガスとは、常温・常圧で気体のものをいい、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものである。
アクリルアミドは融点85℃、沸点125℃であるので空気中に存在すものは蒸気である。アクリルアミドは昇華性があることも覚えておきたい。
問7ガスクロマトグラフ分析法で、カラムA とB を用いてある化合物を測定したとき、保持時間が同じであった。カラムA の理論段数が9000 、カラムB の理論段数が5000 の場合、カラムB におけるピーク幅(WB)とカラムA におけるピーク幅(WA)の比(WB/WA)の値として、正しい値に最も近いものは次のうちどれか。
1 0.38
2 0.56
3 0.75
4 1.34
5 1.80
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ② ガスクロマトグラム理論段数 参照
Aに関する式 9000 = (4tr/WA)2 WA = 4tr/9000
Bに関する式 5000 =(4tr/WB)2 WB = 4tr/5000
(WB/WA)2 = 9000/5000 = 1.8
(WB/WA) = 1.34
下記は似た問題。
問8作業環境空気中の3 ,3 ‘-ジクロロ- 4 ,4 ‘-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)のガスクロマトグラフ-質量分析法に関する次の記述の㋑及び㋺のに入る語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「作業環境空気中のMOCAを㋑含浸ろ紙に捕集し、㋺溶液を添加した後、トルエンで抽出する。抽出液中のMOCA をN-メチルトリフルオロアセトアミドによって誘導体化した後、ガスクロマトグラフ-質量分析法で分析する。」
解答
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(3)
【解説】
問9高速液体クロマトグラフ分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 試料中の成分は、移動相と固定相との相互作用(親和性)の差によって分離される。
2 移動相が固定相よりも極性が高い場合、逆相クロマトグラフ法という。
3 逆相クロマトグラフ法では、カラム温度を上げると、カラム圧が高くなる。
4 ODS カラムは、強酸性や強塩基性の移動相によって化学的に劣化する。
5 ガスクロマトグラフ分析法と比較して、多量の試料が導入できる。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ③ 高速液体クロマトグラム(HPLC) 参照
(3)カラム温度が高くなると、移動相の粘度が下がるため、カラム圧力を抑えることができる。ただし温度を上げるとカラムの劣化が促進されるので注意が必要
問10特定化学物質用の検知管Ⓐと、それに利用される反応Ⓑとの次の組合せのうち、誤っているものはどれか。
解答
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(4)
【解説】
問11作業環境空気中のホルムアルデヒド濃度の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ホルムアルデヒドの捕集には、フルフラールを含浸させたシリカゲル捕集管が用いられる。
2 捕集後の捕集管は、冷蔵保存する。
3 ガスクロマトグラフ分析法を用いる場合は、検出には質量分析器が用いられる。
4 高速液体クロマトグラフ分析法を用いる場合は、検出には紫外吸光検出器が用いられる。
5 作業環境空気中に共存するオゾンにより、測定誤差を生じる場合がある。
解答
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(1)
【解説】
(1)2.4-ジニトロフェニルヒドラジンをシリカゲルに吸着させた捕集管に吸引し、ホルムアルデヒドをヒドラゾン誘導体として捕集する。これをアセトニトリルで溶出させHPLCやGC-MSで定量する。
(4)HPLCの測定波長は360nmであり紫外吸光検出器を用いる
(5)オゾンによる測定誤差を生ずる作業場では、オゾンスクラバーを使用する
問12蛍光光度分析法による作業環境空気中のα-ナフチルアミン濃度の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 α-ナフチルアミンは、インピンジャーを用いて希塩酸中に捕集する。
2 α-ナフチルアミンを捕集した捕集液をアルカリ性にし、エチルエーテルを用いて捕集液から抽出する。
3 亜硝酸ナトリウムとスルファニル酸を加えて、誘導体化する。
4 薄層クロマトグラフ法を用いて単離し、蛍光強度を測定する。
5 α-ナフチルアミンをエタノールに溶解して、標準液とする。
解答
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(3)
【解説】
(3)この方法は吸光光度分析を行う際の処理方法である
蛍光光度分析法
インピンジャーを用いて0.1mol/L塩酸中に捕集し、アンモニア水を加えてアルカリ性とした後にエチルエーテルで抽出する。この抽出液を減圧濃縮して、薄層クロマトグラフ法でα-ナフチルアミンを分離する。薄層プレート上のα-ナフチルアミンをエタノールで抽出して蛍光強度を測定する。
吸光光度分析法
インピンジャーを用いて0.05mol/L硫酸中に捕集し、亜硝酸ナトリウムとスルファニル酸を加えてアゾ化して発色(赤色)させて、吸光度を測定する。
問13次の化合物Ⓐについて、その構造式Ⓑが誤っているものはどれか。
解答
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(5)
【解説】
問14有機化合物の官能基の名称Ⓐとそれを表す式Ⓑとの次の組合せのうち、誤っているものはどれか。
解答
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(2)
【解説】
(2)イソシアネート基は酸素原子ではなく、窒素原子に結合している。
問15ベンゼン1.00 g を容量1 L の真空容器に密封し、常温(25℃)にした。このとき容器内に液体として存在するベンゼンの質量に最も近いものは、次のうちどれか。
ただし、25 ℃ でのベンゼンの飽和蒸気圧は12.6 kPa、モル質量は78.1 g・mol-1とする。
また、気体定数は8.31 × 103 Pa・L・mol-1・K-1とする。
1 0 g
2 0.20 g
3 0.40 g
4 0.60 g
5 0.80 g
解答
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(4)
【解説】
理想気体の状態方程式 PV=nRT が考え方の基本となる。
飽和蒸気圧分だけ気体になるので、Pは飽和蒸気圧を入力すればよい。
n = PV/RT に代入して n = (12.6× 103 × 1)/(8.31 × 103 × (273 + 25)) = 5.09 × 10-3mol
気体になったベンゼン(g) = n ×モル質量 =5.09 × 10-3(mol) × 78.1 (g/mol ) = 0.398g
従って液体のままのベンゼンの重量は 1.00 – 0.398 = 0.602 (g)
問16吸光光度分析法における測定対象物質Ⓐとその標準原液の調製に用いる溶媒Ⓑとの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
解答
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(5)
【解説】
(5)シアン化カリウムを精製水に溶解して標準原液を作成する
問17塩素の濃度測定に用いる次亜塩素酸ナトリウム溶液の有効塩素濃度の標定に関する次の記述の㋑から㋩までに入る化学式又は語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「次亜塩素酸ナトリウム溶液に塩酸とヨウ化カリウムを加え、生成した㋑を㋺溶液で滴定する。滴定の終点は溶液に㋩を加え、溶液の青紫色が消失する点とする。」
解答
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(3)
【解説】
問18次の測定対象物質のうち、固体捕集法による捕集が不適切なものはどれか。
1 アクリロニトリル
2 エチルベンゼン
3 ベンゼン
4 ベンゾトリクロリド
5 マゼンタ
解答
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(5)
【解説】
(5)固体捕集法による捕集が不適切なものは固体のものである。マゼンタは顔料として使用されるもので固体である。
問19ガスクロマトグラフ分析法による検出下限濃度を求めるため、管理濃度の1/10の濃度の空気を2.0 L 捕集した試料に相当する溶液を5回繰り返し測定したところ、気中濃度として平均値0.30 ppm、標準偏差0.02 ppm であった。この測定法の検出下限濃度に相当する気中濃度として、正しい値は次のうちどれか。
1 0.02 ppm
2 0.06 ppm
3 0.1 ppm
4 0.2 ppm
5 0.4 ppm
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 特定化学物質 まとめ② ガスクロマトグラム定量下限の求め方 参照
今回は標準偏差0.02 ppmなので3倍して0.06ppm
① 標準液を調整し、検量線を作成する
② 管理濃度の1/10の濃度に相当する標準試料ガス又は測定対象物質を各分析法に適した捕集・前処理を行う
③ その標準試料を繰り返し5回以上分析する
④ 分析結果の標準偏差(3σ)の3倍を検出下限、10倍(10σ)を定量下限とする
問20直接捕集法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 真空捕集瓶の内面は、測定対象物質に対して不活性でなければならない。
2 真空捕集瓶のコックのすり合わせ部には、グリースを塗布して漏れをなくす。
3 捕集袋は、清浄な乾燥空気又は窒素を用いて洗浄する。
4 試料空気から水分を取り除く場合には、ガラス管に無水硫酸カルシウムなどの乾燥剤を詰めて、試料採取口の前に接続する。
5 電動ポンプを通して、捕集袋内に試料空気を送り採取する方法の場合、ポンプ内の吸着に注意する必要がある。
解答
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(2)
【解説】
(2)コックは漏れの原因になりやすいのでグリスを付けたくなるが、グリスの使用は避ける。(汚染の原因となるため)