作業環境測定士 令和5年8月 有機溶剤
問1有機溶剤の物性等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、大気圧は1気圧とする。
1 シクロヘキサノンの分子量は、シクロヘキサノールの分子量より小さい。
2 トルエンの融点は、キシレンの融点より低い。
3 1 -ブタノールの沸点は、イソブチルアルコールの沸点より低い。
4 25 ℃ において、trans – 1,2 -ジクロロエチレンの密度は、1,1,1 -トリクロロエタンの密度より小さい。
5 25 ℃ において、イソプロピルアルコールの蒸気圧は、酢酸イソプロピルの蒸気圧より小さい。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ① 有機溶剤の物性 沸点(蒸気圧) 参照
(1)水素原子二個分だけメチルシクロヘキサノールの分子量が多い。(-OHが付いているところに-Hが付いているが、省略されています)
(2)一般的に似たような構造においては、分子量が大きいほど大きなファンデルワールス力が働く。 従って、分子量が大きければ大きいほど沸点・融点が高くなる。
(3)基本的にはアルコール分子間の相互作用が強くなれば沸点は高くなり、分子間の相互作用の強弱は主に二つの要素で決まると考える。
一つはヒドロキシ基の周りの立体的な混み具合で、もう一つは炭化水素部分の枝分かれの様子である。
そのため、ヒドロキシ基の周りが立体的に空いている第 1 級アルコールは水素結合を形成しやすく、沸点が高くなる。下図の炭素数が4つのブタノールの場合は第 3 級アルコールから第 2 級アルコール、第 1 級アルコールの順に沸点が高くなる。二つの第 1 級アルコールの比較では枝分かれのある方が分子間の相互作用が少なくなり、沸点が低くなる。
※ 第〇級アルコールとは・・・-OH基の付いた炭素に何個炭素が付いているか。
下の化合物で言うと、左から第1級、第1級、第2級、第3級
(4)塩素は重いので、塩素が3個ついている1,1,1 -トリクロロエタンのほうが密度が高い。
(5)蒸気圧の問題は下記のように書き換えて考えるようにしています。
「25 ℃ において、イソプロピルアルコールの蒸気圧は、酢酸イソプロピルの蒸気圧より小さい。」→「25 ℃ において、イソプロピルアルコールの沸点は、酢酸イソプロピルの沸点より大きい。」
一般的に蒸気圧が高いと沸点が低く、蒸気圧が低いと沸点が高いためです。
ただ今回出題された物質は沸点が接近しており、蒸気圧と沸点の関係が成り立っていません。ということで、記憶で解く問題なのかと思われます。
蒸気圧を覚えるのはあまり意味が無いと思っています。この問題はこれ以上の解説をすると混乱しそうなのでここで終わりとします。
この問題が3年に1回のペースで出ているので、「酢酸イソプロピルはイソプロピルアルコールよりも沸点も蒸気圧も高い」と覚えておいてください。
問2ある有機溶剤に等量の水を加えて撹拌後放置したところ、ほぼ等量に2相に分離した。この下層を取り出し、これに等量の水を加え撹拌後放置したところ、再びほぼ等量に2相に分離した。次の有機溶剤のうち、上記の記述に該当するものはどれか。
1 メタノール
2 n – ヘキサン
3 酢酸エチル
4 二硫化炭素
5 テトラヒドロフラン
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ① 有機溶剤の物性 比重(密度) 参照
ほぼ等量に2相に分離 → ほとんど水に溶けない
この下層を取り出し、これに等量の水を加え撹拌後放置したところ、再びほぼ等量に2相に分離した → 水よりも比重が重かった
(もし再び分離しなかった場合、下層は水だったことになるので、水よりも比重が軽かったということになる)
従って比重が大きくて、非水溶性の溶剤を選べばよいことになる。
クロルと名前が付くものか、二硫化炭素が水よりも比重が高いと考えればよい。(クレゾールもそうだが、多分出題されない)
それらは全て水への溶解度がほとんどない。
問3有機溶剤A:イソペンチルアルコール、B:エチレングリコールモノエチルエーテル、C:メチル‐n‐ブチルケトンをモル質量の大きい順に並べたものは次のうちどれか。
1 A > B > C
2 A > C > B
3 B > A > C
4 C > A > B
5 C > B > A
解答
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(5)
【解説】
エチレングリコールモノエチルエーテルの構造式を思い浮かべることができるかですかね。
C>Aが判れば(4)か(5)の二択問題となりますね。
問4有機溶剤の捕集に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 捕集袋により試料を採取する場合には、内容積5 L 以上のものを用いる。
2 小型ガス吸収管による試料採取時の空気吸引流量は、50 ~ 100 mL・min-1とする。
3 固体捕集法で試料を捕集する場合、電動ポンプの流量調整は捕集管等を接続せずに行う。
4 ガラス製、プラスチック製にかかわらず、管や装置の接続にグリースは使用しない。
5 流量計の校正には、基準流量計として石けん膜流量計を用いることができる。
解答
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(3)
【解説】
(3)サンプリングに用いる流量計の校正は、捕集装置を取り付けた状態で行う。
問5固体捕集法-ガスクロマトグラフ分析法に関する次の記述の㋑から㋩のに入る語句の組合せとして、不適当なものは下のうちどれか。
「作業環境空気中の㋑は㋺に捕集し、㋩で脱着して得た試料液を、ガスクロマトグラフに導入して定量する。」
解答
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(5)
【解説】
作業環境測定協会発行の「デザイン・サンプリングの実務(上)」の固体捕集法による測定条件」という表を見てください。
ほぼすべての有機溶剤がシリカゲル管と活性炭管の両方が使える。(例外はN,N-ジメチルホルムアミドの捕集はシリカゲル管を使用できない)
一般的にはシリカゲルで捕集した場合は親水性溶媒(純水を含む)、活性炭で捕集した場合は純水以外の溶媒で脱着する。
(5)n-ヘキサンを活性炭で捕集した場合は、二硫化炭素で脱着する。精製水では脱着できない。
問6有機溶剤の受動型試料採取機器(パッシブサンプラー)における捕集速度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 一般に、単位はcm3・min-1を用いる。
2 任意の速度に調整することはできない。
3 気流の影響を受けると変動する。
4 サンプラーの構造により異なる。
5 有機溶剤の種類にかかわらず同じである。
解答
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(5)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ① パッシブサンプラー 参照
(4)拡散面積や拡散長により異なる。
(5)物質ごとに拡散速度が異なるので、物質ごとに拡散係数が定められている。
問7検知管法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 濃度目盛は、20 ℃ を基準にしている。
2 検知剤は、測定対象物質以外と反応することがある。
3 個人サンプリング法(C・D 測定)では、検知管法を用いることはできない。
4 検知剤の変色層の長さは、担体粒子径の影響を受ける。
5 変色層が斜めの場合、変色した部分の最先端と斜めに変色が生じ始めた点との中央値を読み取る。
解答
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(3)
【解説】
ガイドライン(PDF) に下記の記載がある。
試料空気の採取等は、単位作業場所において作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いる方法により行うこと。なお、「試料採取機器等」の「等」には、検知管方式による測定機器が含まれること。
個人サンプリングにはパッシブ式検知管を使用する。
問8ポリエチレングリコール系の高極性カラムを用いたガスクロマトグラフ分析法において、トルエンより保持時間の長い有機溶剤は次のうちどれか。
1 イソプロピルアルコール
2 キシレン
3 メチルエチルケトン
4 酢酸エチル
5 n- ヘキサン
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ カラム 参照
ポリエチレングリコール系を固定相液体としたカラムを用いるガスクロマトグラフ分析では、極性が強いほうが保持時間が長い。
とはいえ極性が強くても低沸点であれば保持時間が短くなる。
トルエン(沸点:111℃)とほぼ同極性のキシレン(沸点:144℃)が保持時間が長い。
問9ガスクロマトグラフ分析法のキャリアガスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 キャリアガスとして、水素を使用することができる。
2 溶出ピークの幅は、カラム内キャリアガスの渦流拡散の影響を受ける。
3 カラムの理論段数は、キャリアガスの種類が関係する。
4 内径0.3mmのキャピラリカラムでは、キャリアガス流量が20 ~ 30mL・min-1が適切である。
5 電子捕獲検出器(ECD)には、キャリアガスとして、窒素を使用することができる。
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ キャリアガス 参照
(4)内径0.3mmのキャピラリカラムでは、キャリアガス流量が1.2~3.0mL・min-1が適切である。
【キャピラリーカラムの分類と特性】(公)日本作業環境測定協会 作業環境測定士のための機器分析の実務より
【検出器にとって適当なキャリアガスの種類と必要な流量】(公)日本作業環境測定協会 作業環境測定士のための機器分析の実務より
カラムに適した流量と検出器に適した流量が異なる場合には、検出器にメイクアップガスとしてキャリアガスを追加する。
問10複数成分を含む試料を分析する際、ガスクロマトグラフの温度設定に関する次の記述の㋑から㋩のに入る語句の組合せとして、正しいものは下のうちどれか。
「カラム温度は分析対象物質の沸点を基にして決められるが、カラム温度が㋑ほど試料成分の固定相への分配が㋺なるので、一般に、試料成分のピークとピークの間隔は㋩なる。」
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ 分離度 参照
カラム温度を高くすると、成分の分子運動が激しくなり、固定相中での保持時間は減少する効果が生ずる。この結果、保持時聞が短縮される。
全体的に保持時間が短くなるので、ピーク間は短くなり分離が悪くなるということになる。
実際には試料成分が完全に分離され、かつ分析時間ができるだけ短くなるようにカラム温度(恒温槽の温度)を設定することになる。
問11ガスクロマトグラフ分析法のキャピラリカラムに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 キャピラリカラムの内径は0.1 ~ 0.8 mm程度である。
2 キャピラリカラムの材質には、一般に溶融石英(ヒューズドシリカ)が使用されている。
3 市販のキャピラリカラムの多くは、液相を内壁に化学結合させたもの(ケミカルボンディド)である。
4 充塡カラムと比較して、キャピラリカラムでは、試料導入量を多くする。
5 充塡カラムと比較して、キャピラリカラムは多成分を含む試料の分離分析に適している。
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ カラム 参照
(4)キャピラリーカラムは充填カラムに比べてサンプル負荷量が小さい。そのため資料導入量を少なくする必要がある。
【充填カラムとキャピラリーカラムの比較】
問12ガスクロマトグラフ分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 カラムの長さが2倍になると、理論段数は約√2 倍になる。
2 カラムの内径が小さいほど、理論段数は大きくなる。
3 理論段数は、温度によって変化する。
4 カラムの理論段相当高さを最小にするキャリアガス流速が存在する。
5 分離度が1.5 より大きいとき、2つのピークはほぼ完全に分離する。
解答
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(1)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ 理論段数 参照
(1)カラムの長さが2倍になると、理論段数は約2 倍になる。
問13ガスクロマトグラフ質量分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 代表的なイオン化法には、電子イオン化法がある。
2 イオン化条件によっては、分子イオンが観察されない場合がある。
3 一般的に、キャリアガスとして高純度窒素ガスを用いることが多い。
4 代表的な質量分離装置には、四重極型がある。
5 定量は代表的なイオンのピーク面積あるいは高さで行う。
解答
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(3)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ ガスクロマトグラフ質量分析法(MS)参照
(3)一般的にはヘリウムを使用する。キャリアガスを窒素に変更すると、ヘリウムと比べてイオン化エネルギーが低くノイズが増えやすい、最適な分離を得ることができる線速度が遅くかつ領域が狭い、真空度が下がる傾向があること等の弊害がある。
問14ガスクロマトグラム上にあるピークの保持時間に相当する長さが150 mm、ピーク幅が6.0 mm であった。このピークについて計算した理論段相当高さ(単位段数当たりのカラムの長さ)は2.0 mmであった。使用したこのカラムの長さとして、正しい値は次のうちどれか。
1 5 m
2 10 m
3 15 m
4 20 m
5 25 m
解答
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(4)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ 理論段数 参照
問15吸光光度分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 一般に、測定波長は、吸収スペクトルの吸収極大を示す波長を選択する。
2 発色反応のために試料液を加熱した場合は、常温に戻してから吸光度を測定する。
3 可視領域の測定には、光源としてタングステンランプが用いられる。
4 光電子増倍管は、紫外領域の検出器に用いることができる。
5 ガラス製セルは、波長340 nm以下の紫外域の測定に使用する。
解答
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(5)
【解説】
(5)ガラス製の試料セルは、短波長の光を吸収するので可視領域の測定に用いられる。300 nm よりも短波長の光の吸収の測定は石英製セルを使用する。
問16吸光光度分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 吸光度は、試料液の濃度に比例し、光路長に反比例する。
2 T を透過率(%)、A を吸光度とすると、A= 2 – log10T が成り立つ。
3 二重結合を持つ化合物は、試料液が無色であっても紫外部の光を吸収する。
4 石英製セルは、全ての測定波長領域で用いることができる。
5 光路長が同一の場合、透過率(%)の値が大きいほど、対象物質の試料液中の濃度は低い。
解答
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(1)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ③ ランベルト・ベールの法則 参照
(1)光路長にも濃度にも比例する。
(2)T(%)= I/I0 × 100 が成り立つ。 ※パーセントなので100倍している
I0/I = T/100 ※I0/Iになっていることに注意
ランベルト・ベールの式に代入して A = log(I0/I) = log(T/100) = logT – log10-2 =2 – logT
logT = 2-A
問17ある有機溶剤1.50 mLを精製水で100mLとし、この溶液1.00 mLを正確にはかり、発色させた上で、更に精製水で100 mLとした。この溶液を波長500 nm で光路長1.00 cmのセルを用いて吸光度を測定したところ0.500 となった。発色した物質のモル吸光係数の値に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、この有機溶剤の密度は0.785 g・cm-3(25℃)、モル質量は58.1 g・mol-1とする。
1 1.93 × 102 cm-1・mol-1・L
2 2.46 × 102 cm-1・mol-1・L
3 1.93 × 103 cm-1・mol-1・L
4 2.46 × 103 cm-1・mol-1・L
5 4.25 × 103 cm-1・mol-1・L
解答
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(2)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ③ ランベルト・ベールの法則 参照
まず1.5mLの有機溶剤のモル数を計算する。
1.5mL × 0.785 = 1.18g つまり(1.18/58.1) = 0.02 mol
精製水で100mlに薄めたので、(1.18/58.1/0.1) = (1.18/58.1)×10 mol/L
この溶液を100倍に薄めたので、 (1.18/58.1)×10× 10-2 mol/L が吸光度を測定した溶液濃度
0.5 = ε × (1.18/58.1)× 10-1 ×1.00
ε = 246 cm-1・mol-1・L
問18作業環境空気中の酢酸エチルを真空捕集瓶に捕集した。この試料ガス中の酢酸エチルを定量するために、酢酸エチル5.0 mL を含む二硫化炭素溶液50 mLから5.0 μL をマイクロシリンジで採取し、清浄空気の入っている1.0 L の真空捕集瓶中に完全に蒸発させ、標準ガスを作成した。試料ガス及び標準ガスを同一条件でガスクロマトグラフ分析したところ、試料ガスのピーク面積は、標準ガスのピーク面積の1 / 5 であった。作業環境空気中の酢酸エチル濃度として、正しい値に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、酢酸エチル(液体)の密度を0.89 g・cm-3、モル質量を88 g・mol-1とする。また、気温は25 ℃、大気圧は1気圧とする。
1 5 ppm
2 15 ppm
3 20 ppm
4 25 ppm
5 50 ppm
解答
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(4)
【解説】
まずは標準ガスの濃度を計算する。
酢酸エチルは(5.0mL/50mLより)10体積%である。5.0μLをマイクロシリンジで採取したので実質0.5μL採取したことになる。
重量は0.5μL×890g/L=445μg (1,000㎝3=L)
これを1Lで希釈したので445μg/Lが濃度となる。m3に変換すると。445㎎/m3 となる。(1,000L=m3)
これをppmに変換する (445/88) × 24.4 = 123ppm
これの1/5が測定値なので(123/5)= 24.6ppm
下記の問題が近いです。
問19トルエンを含む塗料が入ったスプレーガンを持ちながら、製品の周辺を移動して行う吹付塗装作業が1名の作業者により行われていた。作業者に能動型試料採取器(アクティブサンプラー)を装着して、8時間のサンプリングを行った。作業後に採取器を回収し、捕集されたトルエンを溶媒2.0 mL で脱着してガスクロマトグラフで分析した。分析結果としてトルエン1626 μg・mL-1 が得られた。C 測定値として、正しい値に最も近いものは次のうちどれか。
ただし、吸引流量は0.10 L・min-1、トルエンのモル質量は92.1 g・mol-1、脱着率は90 % とする。また、気温は25 ℃、大気圧は1気圧とする。
1 16 ppm
2 18 ppm
3 20 ppm
4 24 ppm
5 30 ppm
解答
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↓
↓
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↓
↓
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(3)
【解説】
分析結果が1,626μg/mlなので、2.0mLを掛けて分析された量を計算する。
1,626 μg・mL-1 ×2.0mL = 3,252μg
脱着率が90%なので実際に捕集されていた量は (3,252/0.9)μg
吸引した量は 0.10 L・min–1 ×480min = 48L
従って濃度は (3,252/0.9) μg/48L = 75.2μg/L = 75.2㎎/m3
ppmに直す必要があるので、公式に当てはめて変換する。
(75.2㎎/m3 / 92.1) ×24.4 = 19.9ppm
問20ガスクロマトグラフ分析法に用いる検量線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 標準溶液は、対象の標準物質を脱着溶媒で適切な濃度範囲内に希釈したものを用いる。
2 比較的高濃度の溶液を標準原液として冷暗所に保管し、検量線作成の都度、適切に希釈して標準系列液を調製する。
3 検量線の適用範囲は、標準系列液の濃度の上限と下限の間にあり、かつ直線とみなせる範囲である。
4 内標準法で用いられる内標準物質には、目的物質と物理的・化学的によく似ているが、実際の試料中に含まれず、かつ、測定を妨害しない物質を選択する。
5 内標準法では、ガスクロマトグラフに導入した試料の体積を正確に測定する必要がある。
解答
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(5)
【解説】
作業環境測定士 有機溶剤 まとめ② ガスクロマトグラフ 標準液・検量線 参照
(5)内標準法では、ガスクロマトグラフに導入した試料の体積を正確に測定する必要はない。内部標準法のメリットとしては、注入量や溶解溶媒の揮発による誤差を防ぐことができることである。